
中国の自動車市場で、新車1台当たりの平均販売価格が下がり続けている。その要因について、自動車メーカー間の価格競争だけでなく「中国政府の補助金も一因」とする意外な分析が、政府系シンクタンクの専門家から飛び出した。
「2018年から2023年にかけて、中国市場の乗用車の平均販売価格は15万元(約301万円)から17万8000元(約357万円)に上昇した。ところが2024年は16万9000元(約339万円)へと下落に転じ、2025年1月から5月までの期間では16万1000元(約323万円)に低下した」
国家発展改革委員会の直属シンクタンク「国家情報センター」のシニアエコノミストを務める徐長明氏は、6月14日に開催された自動車業界のフォーラムでそんなデータを示した。
200万円以下の比率が急上昇
さらに徐氏は、2024年から低価格車の需要が急に伸び始めたと指摘し、次のように続けた。
「販売価格が10万元(約201万円)以下の乗用車の販売台数は、2023年には中国市場の総販売台数の18.1%を占めていたが、2025年1~5月にはそれが27.2%に上昇した。一方、30万元(約602万円)以上の高級車の比率は2023年の15.1%から2025年1~5月は10.8%に縮小した」
このような“自動車デフレ”が生じた最大の要因として、徐氏は2023年から続く自動車業界の過当競争を挙げる。主にEV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)を手がける中国メーカーが値下げ競争の口火を切り、エンジン車が主力の外資系合弁メーカーもその後を追った。
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