「よい提案は通る」は誤解。採用される企画・スルーされる企画の決定的な差とは?――伝え方のプロが教える「提案力」の重要性
例えば、コンプライアンス規程のケースでも、「そちらの部門は、社外との取引が多いという特殊事情があるので、そこは配慮しています」のように告げると、相手は警戒心を緩めてくれるでしょう。
特に、相手に負担が生じるような提案をする場合、エンロールは欠かせません。エンロールに必要な時間は、10秒から長くても20秒。それで、その後の説明がスムーズになるのですから、ぜひやりましょう。
構成の2つの原則と定番進行
ここでは、提案の本論をどう進めるか、効果的な構成を考えます。これは、話し方だけでなく、資料作成にも影響します。
提案における原則は、次の2つです。
2 全体―部分の順で話す
この2つは報告だけでなく、提案においても話の骨格を作る原則になります。
次の事例は、ある建築会社で実際にあったものです。中堅社員が上司向けに、業務改善提案をしました。
今回の業務改善提案につきまして、まずは背景ですが、小規模の工事が増え、現場ごとの工事仕様書の管理が難しくなっています。探すのも時間がかかり、誤った仕様書を現場に持参してしまうということもあり、他にも……
今回の業務改善提案は、工事関係書類をPDFにして、タブレットで見られるようにしましょう、というものです。小規模の工事が増え、工事仕様書の管理が煩雑になっているからです。進め方は、次の3つのステップです。
どちらも話の量は同じ。提案内容も同じなのですが、話し方で印象が大きく変わります。
OK例では、「何がしたいのか」という結論、「なぜそれを提案するか」という理由、さらには進め方の全体像も話しています。NG例では、肝心のそれらの話が出てきません。みなさんが上司だったら、OK例のように話してほしいでしょう。
当然ながら、提案資料もOK例の順に話す前提で作ります。また、提案に関しては、説得しやすくするための2つの定番進行があります。
2 理想―実現
先ほどの「工事仕様書をPDFにしてタブレットで見られるようにしたい」という提案の結論に続けて、2つの話法を入れる想定をしてみましょう。
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