「よい提案は通る」は誤解。採用される企画・スルーされる企画の決定的な差とは?――伝え方のプロが教える「提案力」の重要性

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その場面で、隣の部門の担当者に「こちらの事務フロー改善に協力してほしいので」とだけ告げてプランを説明し始めると、協力してもらえる確率は低くなります。

相手は「面倒なことを押し付けられるのではないか」と警戒し、断る口実を探しながら聞くからです。「安易に了解しないぞ」と身構え、鎧(よろい)を着た状態です。それでは説得どころか、説明もしにくくなります。

こういう場面でするのがエンロールです。「相手に自分の提案を受け入れるとメリットがあると感じさせる」ためのトークを入れます。

「今から説明する事務フローの改善案は、そちらの部門の転記作業を減らせるプランです」と告げることで、相手の鎧を脱がせます。少しでも警戒心が緩めば、説明はかなり楽になります。

2つめの道「相手に、自分の提案を受け入れないとデメリットがあると感じさせる」の例も挙げましょう。

あなたが、全社の企画部門でコンプライアンスの担当をしているとします。コンプライアンス規程の改定に向け、各部門の責任者に改定案を説明するとします。この場合も相手は警戒するでしょう。「企画部門が面倒なことを言ってくるのではないか」と思うはずです。

そのまま進めては、改定案の説明も難しくなります。そこで、エンロールです。

「相手に、自分の提案を受け入れないとデメリットがあると感じさせる」ために、「今から説明する社内規程の改定案は、国の法改正に伴うものです。これを実現しないと、あなたの部門から法令違反者が出てしまう可能性があります」と告げます。

相手は「それは困る」と考え、渋々ながら改定案の受け入れに向かうでしょう。

このように、提案事項の説明の地ならしになるのがエンロールです。

1と2の2つの方法に加え、少し変化球的なエンロールの方法もご紹介します。それは、相手の特殊事情を持ち出すことです。

例えば、先ほどの事務フロー改善の提案に際し、隣の部門に「そちらの部門は、派遣スタッフの方々が多いという特殊事情があるので、それも考慮して説明します」と加えます。そうすると相手は「この人はうちの部門のことをよくわかってくれている」と、さらに警戒を解き、エンロールされてくれます。

人は、誰しも自分の会社、自分の職場、自分の仕事は特殊だと思っています。だから、この方法は誰に対しても使えます。

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