日本で売れているPHEVは? 直近5年間の購入者データから「日本のPHEV市場」の実態を明らかにした

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ここで気づくのが、BEVとあまり比較検討されていない点だ。

今回、分析対象としたPHEV購入者の「購入時の前提条件(複数回答)」のデータを見ると、最初から「PHEV」を前提条件にしていた人は64%。「ハイブリッド」は同18%、「BEV」は同9%だった。

電動化の推進や次世代エネルギー車の文脈では、世界的にBEVとともに語られることも多いPHEVであるが、購入している当事者たちからすれば、「PHEVかBEVか」といった比較や検討は、あまりされていなのが実態だ。

では、最後に環境への意識・配慮はどうなっているかを確認する。下は、購入したクルマの「どこを気に入ったか」のデータを、複数回答形式で取得した結果のグラフだ。

画像を拡大
「環境配慮 VS 経済性重視」気に入った点(複数回答)。インテージの自動車に関する調査「Car-kit®」より

「環境問題への配慮」のスコアを見ると、30%弱でここ数年間推移してきているが、2024年購入者は2割弱へと減少している。

この傾向が短期的なものなのか、さらに低下するのか、それとも再び30%付近まで戻っていくのかはまだわからないが「環境に優しいからPHEVがほしかった、気に入った」人はそこまで多くなく、少なくとも上昇傾向にはないことがわかる。

対して、「税金・補助金などの経済性」のスコアも並べてみたところ、こちらは右肩上がりの傾向を示す。

昨今の極端な物価高、ガソリン代の高騰などを受けて、金銭面でのメリットをより強く感じるようになっているのかもしれない。

「アルファード Executive Lounge(プラグインハイブリッド)」は1000万円を超えるが…(写真:トヨタ自動車)
「アルファード Executive Lounge(プラグインハイブリッド)」は1000万円を超えるが…(写真:トヨタ自動車)

PHEVの存在感は増していく

以前は「BEVが浸透するまでの過渡期の技術」と呼ばれることもあったPHEVであるが、世界的にBEV一辺倒の勢いに陰りが見える中、PHEVの存在感は増してきている。

冒頭で述べたように、BYDの販売の主力はPHEVであり、中国国内では200万円台前半からと価格も安い。

ハイブリッド王国の日本でPHEVは、モデル数も販売台数もまだまだ少ないが、トヨタのようにパワートレインの選択肢のひとつとしてラインナップするケースも増えてくるだろう。

同じ調査・分析を3年後、5年後に行ったら、まったく違う結果が出るのではないだろうか。

この記事の画像を見る(12枚)
三浦 太郎 インテージ シニア・リサーチャー

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

みうら たろう / Taro Miura

北海道大学大学院理学院卒業後、インテージ入社。自動車業界におけるマーケティング課題の解決を専門とし、国内最大規模の自動車に関するパネル調査「Car-kit®」の企画~運用全般に従事。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事