テレビとネットはどこまで仲良くできるのか 東京発「世界同時ライブ」番組の勝算
YouTube Liveのライブ配信を見た海外のネットユーザーからのリアクションや質問は、テレビの生放送で紹介。日本の視聴者と海外の人々を「東京」をテーマにテレビとネットで結び、リアルタイムでの交流を生んでいくことなども狙いとしている。
そして、この企画にANA(全日本空輸)がスポンサーとして協力してくれることになった。ANAは羽田空港や成田空港を軸とした国際線の展開を強化しており、海外の人々にみずからのブランドを訴える機会ととらえてくれたようだ。実はこのアイデアの実現は厳しいと思っていた筆者自身が驚いている。
異業種の言葉が飛び交う不思議な会議
通常テレビ番組の打ち合わせは、制作スタッフや放送作家などだけで行われるが、『東京EXTRA』の会議にはグーグル、CM制作会社、広告代理店、外国人コーディネーターなど多様な職種の人が参加している。
業界が違う者同士の集まりなので、会議中は互いに馴染みのない言葉が飛び交う。時々、「それってどういう意味?」と聞かないとついていけないほどだ。それでもなんとか和やかに会議を進めることができている。わからないことは素直に質問し、困っていることは助け合う。当たり前に聞こえるかもしれないが、テレビ業界とネット業界の間ではこれが意外に難しい。
『東京EXTRA』の根底には、筆者自身が抱えるテレビメディアの未来についての悩みがある。以前、仲間のプロデューサーが某大手ネット企業と打ち合わせした後、憤慨して会社に戻ってきた。番組とサイトのコラボでの相互PRの提案だったのだが、「あいつら勝手なことばかり言ってくる!」「全然テレビのことわかってない!」というのだ。
筆者はそのプロデューサーにこう言った。
「相手の側もこっちと同じこと言っているんじゃないか?」
50年以上続いているテレビ業界は毎日毎日映像コンテンツを制作することでノウハウを蓄積してきた。ただ、同じテレビ業界内だけでの競争だけしかしてこなかったため、他メディア・他業種との共同作業に慣れてない。さらに、一部のテレビ業界の人間は「上から目線」で他業種の人へ発言をしてしまう。
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