日本の子育てと公教育に足りない重要な視点 子どもに必要なのは学力やIQだけじゃない

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シカゴ幼児センターでは、世界が注目する試みが進んでいる(C)The University of Chicago

シカゴハイツ幼児センターの試みでは、たとえば以下のことがわかった。

①もともと非認知スキルが高かった子どもたちがカリキュラムから最も大きな成果を得た
②親向けカリキュラムでは黒人家庭でのみ成果が見られなかった
③現金と信託に預けるグループでは親の意欲は変わらない

 

などだ。具体的な検証はこれからだが、これを主導したシカゴ大学経済学部のジョン・リスト教授は、「プログラムに参加した子どもたちが大人になったとき、労働者としての生産性が高まり、犯罪に手を染める可能性が減るなど、大きな成果が出るだろう」と語る。

日本は教育を「科学」しているか

米国だけではない。OECD(経済協力開発機構)をはじめ、世界で早期教育、非認知スキルの重要性が再認識されている。さらに共通する潮流が、教育を科学的に分析しようとする取り組みだ。社会実験等を通じ教育への効果を客観的に把握し、それを政策に生かそうとする。

ゆとり教育、子ども手当、少人数学級の導入……。日本では客観的な検証なく導入された教育政策は多い。教育を「科学」する――。それこそ、これまでの日本の教育議論に不足していた部分だろう。週刊東洋経済は10月24日号(19日発売)の特集『教育の経済学』で、その最前線を追った。今後は科学的根拠(エビデンス)に基づく幅広い議論が期待される。そして早期教育の充実は、日本でも問題となっている教育格差や、子どもの貧困を解決する一助になるはずだ。

並木 厚憲 東洋経済 記者

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なみき あつのり / Atsunori Namiki

これまでに小売り・サービス、自動車、銀行などの業界を担当。テーマとして地方問題やインフラ老朽化問題に関心がある。『週刊東洋経済』編集部を経て、2016年10月よりニュース編集部編集長。

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