トヨタの自動運転、まだ乗り越えていない壁 首都高のデモ走行体験で見えてきた

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およそ7分間、実験車は完全に自律して走行していた。前方に割り込んでくる車があれば、速度を下げて安全な車間距離を保つ。小さなカーブもレーンをキープしたまま、滑らかに走行。あえて言えば合流の際の減速時に少々ぎこちなさがあったが、全体としてはスムースなクルージングであった。たとえるなら、免許歴ン十年のベテランドライバーというよりは、しっかりと道交法を順守する若葉マークの新人ドライバーといった印象だ。

先進センシング技術をフル装備

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リアウインドウ上部には「猫耳」のようなGPS(全地球測位システム)が装着されている

今回、トヨタが公開した自動運転実験車は高級車「レクサスGS」がベース。リアウインドウ上部左右には猫耳のようなGPS(全地球測位システム)を、フロント中央上部にはステレオカメラをそれぞれ装着。また、バンパーの中央と左右の各3カ所、前後併せて6カ所には、ミリ波レーダーや赤外線を使ったライダー(LIDAR:Light Detection and Ranging)が収められていた。

実験車は白線をトレースしながら、カーナビに登録されたルートを走行した。周囲の車との位置関係はカメラやセンサーで得た情報が基になるわけだが、それぞれのセンサーには得手不得手がある。たとえば、ミリ波レーダーは天候不順に比較的強く、遠方の障害物も検知できるが、視野角がやや狭い。一方、ライダーは視野角が広く、周辺情報の把握には役立つが、雨や雪などに弱い。

そこで、機能を補完し合えるように多様なセンシングデバイスを組み合わせ、多面的な情報を得ている。収集した情報は人工知能(AI)が解析し、障害物の大きさや障害物までの距離、周辺車両の移動速度などを見極めて自動運転を行う。今回は実験だったので高品質のセンサーをぜいたくに使用していたが、市販化に際しては絞り込みが必要だ。実験結果をもとに代替可能なセンサーと必要不可欠のセンサーとを見極め、性能とコストのベストバランスを追求していくことになるだろう。

また、トヨタでは今回の自動走行区間について精細な3Dマップを作成した。追い越し禁止の黄色いラインや道路標識などの情報は視覚的なセンシングに頼るよりも、地図情報や位置情報も組み合わせる方が現実的だからだ。

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