「地球に寿命が訪れた時、人類最後の挑戦が始まる――」こんな壮大なテーマを見事に描いた本作は、この分野の第一人者キップ・ソーン博士をスタッフとして迎えただけあって、確かな宇宙理論と最先端のビジュアルが見事に反映され、そのリアル感は、すべての鑑賞者に深い感動を与えてくれる。
近未来の地球。環境破壊は加速度的に進み、地球規模での農作物の枯渇、それに伴う食糧難から、地球終焉=人類滅亡のカウントダウンが始まっていた。この緊急事態に対し、NASAは極秘に人類移住計画を進行させていた。元優秀な宇宙飛行士だったクーパーは、生物学者のアメリアらとともに、移住が可能な惑星探査チームの一員として名乗りを上げるのだが……。
と書けば想像を絶する未開の宇宙空間で遭遇する数々の危機を、目を見張るようなVFXで描いたハードなSFというイメージを想像してしまいがちだが、決してそれだけの映画ではない。旅立つクーパーは愛する子供たちとの(恐らく永久の)別れを決断しなければならず、とりわけ父をもっとも尊敬していた娘のマーフは傷心の日々を送ることとなる……。この父と娘を結ぶ愛と奇跡の物語は実際にご覧いただきたい。
本作とコンセプト的に最も近く、ぼく自身すぐに思い浮かべてしまった映画に、ジョディ・フォスター主演の『コンタクト』がある。こちらは人間の存在をテーマとした映画だが、ある日届いた宇宙からのメッセージに応え、博士がその創造主たちに会いに向かうという、こちらもスケールの大きな物語。派手なバトルシーンなど皆無のSFだが、人類はどこから来たのかという永遠のテーマに迫る傑作SF映画なので、合わせての鑑賞をおススメしておきたい。
(文:たかみひろし/音楽・映像プロデューサー)
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