企業年金制度の要諦を早急に再点検せよ

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理想が画餅化していないか

厚生年金基金制度は、母体企業が基金に運営を委ね、さらに基金は年金数理や年金事務、あるいは資産運用などの業務を専門企業に任せるという重層的な委託構造で成り立っている。その構造が無責任な丸投げにならぬよう、「受託者責任原則」がうたわれるとともに、受託者にはプルーデントマン・ルールが求められている。このルールは「誠実な行動と思慮深い健全な行動」を求めたものであり、民法上の「善管注意義務」よりも重いとされている。

だが、金融市場の常識からすれば、荒唐無稽といえる5・5%の予定利率を前提にしてプルーデントマン・ルールを要請することなどありえない。プルーデントマン・ルールはすでに画餅に堕していたのである。

ところで、同ルールの要請先の一つ、投資顧問業(投資一任業者)の歴史はそれほど古くはない。きちんと法整備されてからわずか30年ほどだ。しかも、その普及過程は証券会社、銀行などが系列子会社を創設するパターンが主流であり、アセットマネジメントとしての専門性、独立性が確立するまでには相当の時間を要した。揺籃期を脱して間もないとさえいえる歴史である。

一方、企業年金の屋台骨である年金制度設計に従事する年金数理業務は、独立性確保への要請があるものの、多くは依然として資産運用受託の金融機関が担っている。そこで、過去には、ビジネス的にうまみのある資産運用を受託するために、掛け金負担率を本来必要な水準よりも下げて企業に提案、受託するという、年金制度設計を歪める現象も一部で発生していた。これが個別の企業年金制度を苦境に陥らせる一因にもなった。

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