企業年金制度の要諦を早急に再点検せよ

厚生年金基金の設立形態は設立母体の違いによって3形態に分かれている。すなわち、(1)単独企業が設立する単独型、(2)企業集団が設立する連合型、(3)同一業界の多数の中小企業などが設立する総合型である。

このうち、単独型と連合型は、設立母体が素早く意思決定できることや上場企業が過半だったこともあって、次々に基金制度から確定給付型制度へと変更された。一方、総合型は加盟企業が多数に上って全体の意思統一が容易ではないうえ、加盟企業は非上場企業が過半で、退職給付債務のバランスシート計上による経営上のインパクトが乏しかった。結果として、残存した588基金のほとんどは総合型となっている。

総合型基金の母体企業である中小企業は、総じて収益力が脆弱だ。基金への掛け金拠出能力にも限界がある。掛け金の拠出額を増加させるというインセンティブは働きにくい。

そうした中で、厚生労働省(当時は厚生省)は89年の厚生年金保険法改正によって、企業年金の予定利率(掛け金や給付金の計算根拠となる利回り)の弾力化に踏み切った。それまで、予定利率が5・5%という高水準に据え置かれ続けてきただけに、その引き下げを容認することは、遅まきながらも画期的な制度変更だった。しかし、その後、残存した総合型基金には、自由化を踏まえて予定利率を引き下げるという発想が乏しかった。

予定利率引き下げは、給付水準を据え置くかぎり、掛け金水準の引き上げに直結する。これは掛け金拠出負担に限界がある中小企業にとってはつらい。そこで、予定利率据え置きが横行した。結果として、5・5%のパフォーマンスを維持するため、年金資産運用に従来にも増して大きなバイアスがかかることになり、悪徳業者が付け入るすきができた。

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