ケーブルカーに16億円!大山観光電鉄の戦略

ミシュラン獲得し国際観光都市になる起爆剤に

だが、大山の観光振興をめぐる動きは小田急グループだけではない。神奈川県としても、大山地域を箱根・鎌倉・横浜に次ぐ「新たな観光の核」の一つにしようとしているのだ。

大山は丹沢大山国定公園の一角として親しまれてきた観光地だが、近年は観光客数の減少傾向が続いていた。伊勢原市商工観光振興課によると、2007年度に114万人だった大山地域の観光客数は、12年度には104万人に。大山観光電鉄によると、ケーブルカーの年間輸送人員も1989年の69万7000人をピークに、東日本大震災が発生した2011年には37万1000人まで減った。

緩やかなカーブの天井など内装も特徴的(撮影:大澤 誠)

そのタイミングで県が12年度に始めたのが「新たな観光の核づくり認定事業」だ。これは、神奈川県内に横浜・鎌倉・箱根といった3大有名観光地に次ぐ「第4の国際観光地」を創出しようというプロジェクトで、市町村や企業から国際観光地を目指す構想などを募り、審査を経て認定されれば、観光PRや交付金などの支援が受けられる事業だ。

今年が「開業50周年」の節目

大山地域では、伊勢原市が主体となってこの事業に応募し、13年2月に認定を受けた。同年4月には、プロジェクトを推進する組織として同市や厚木市、秦野市をはじめ、大山観光電鉄や小田急電鉄なども参加する「平成大山講プロジェクト推進協議会」が設置され、地域を挙げた観光振興への動きが高まり始めた。

ケーブルカーにとっても一つの大きな節目が迫っていた。15年に迎える「開業50周年」だ。「賑わいを取り戻そうという気運が高まる中、車両の更新で素晴らしい眺望を提供したい」(古住博・大山観光電鉄総務課長兼事業課長)と、同社は50周年に向けた新型車両導入のプロジェクトを同年の春から開始した。

ケーブルカーの新車プロジェクトが動き出すと同時に、大山地域の賑わいを取り戻すための企画も動き出した。13年の7月下旬〜8月中旬に開催した、参道に並ぶ絵灯籠(とうろう)や夜景を楽しむイベント「光の競演〜夜景と絵とうろう〜」は多くの観光客を集め、同年度の大山地域の訪問者数は約110万人まで回復。ケーブルカーの利用者も同年には50万人に届くまでに回復した。

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