ケーブルカーに16億円!大山観光電鉄の戦略 ミシュラン獲得し国際観光都市になる起爆剤に

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山上駅側の車両前面はレトロな雰囲気(撮影:大澤 誠)

前後で全く表情の違うスタイルも特徴だ。大型の窓を備えた山麓駅側の顔とは対照的に、山上駅側の前面は屋上から突き出たライトや乗務員出入り口のデッキがレトロな雰囲気を感じさせる。「ケーブルカーといえば普通は平行四辺形で前後が似た形だが、山麓駅側と山上駅側の風景を違った形で捉えられるよう、極端に変えてみようと思った」と岡部氏は話す。

デザインだけでなくシステムも大きく変化した。天井まで続く山麓駅側前面の大きな窓からの視界をさえぎらないよう、従来は電源供給用に張られていた架線を撤去し、電源は駅停車中に車載のリチウムイオン蓄電池に充電する「架線レスシステム」を採用。台車は旧型車のものを利用したが、サスペンション部分のバネを増やして乗り心地を改善した。斜面を走るケーブルカー特有の車内の階段も、段数を増やして段差を小さくしている。

「第4の国際観光地」へ県も後押し

麓の「大山ケーブル」駅と中腹の「阿夫利神社」駅を結ぶケーブルカーの全長は約0.8キロメートル、高低差278メートルで、乗車時間は約6分。短い旅には贅沢ともいえる力の入れようだ。

大山観光電鉄によると、今回の新車デビューにあたっては車体の新造のほか、架線の撤去やレール、枕木をすべて交換するなど、運行を4カ月半休止して大がかりなリニューアルを実施した。狭い山中の線路に運び込むため、車体はヘリコプターで搬入したという。総額で約16億円の費用を投じた一大プロジェクトだった。

同社は小田急グループの一員だ。ケーブルカーの新車デビューを控えた今年8月末、小田急電鉄は大山の最寄り駅である伊勢原駅に来年春から特急ロマンスカーを停車させることを発表した。

小田急は以前から、同社の電車やケーブルカーなどが利用できる「丹沢・大山フリーパス」を発売するなど、沿線観光地の一つとして大山をPRしていたが、箱根や江ノ島・鎌倉といった小田急沿線の有名観光地に比べれば地味な印象は否めない。そこで、新型ケーブルカー導入のタイミングに合わせ、小田急はグループ全体で沿線の観光資源としての大山を売り出す。

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