中国シャオミ、3nmの「スマホ用半導体」を独自開発 スマホ心臓部の自社設計に8年ぶりに再挑戦

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その後、シャオミの半導体開発に関するニュースは途絶えたが、同社は諦めていなかった。2021年12月、「玄戒技術」という名前の会社が上海市にひっそり設立され、シャオミの半導体開発の新たな拠点になった。

その指揮をとるのはシャオミ副総裁(副社長に相当)の朱丹氏だ。現在は1000~2000人のエンジニアが開発チームに所属し、過去数年間に画像処理、充電制御、電源管理などの(特定用途の)半導体を相次いで投入。そのうえで満を持して開発したのが玄戒O1なのである。

シャオミは玄戒O1をハイエンドスマホ「Xiaomi 15S Pro」に搭載し、高性能ぶりをアピールする(写真は同社ウェブサイトより)

とはいえ、玄戒O1の前途には不透明感も漂う。アメリカ政府は先端半導体技術の対中輸出を規制しており、その対象には3nm以下の半導体設計に対応した電子回路設計ソフトウェア(EDA)も含まれるからだ。

アメリカの規制が懸念材料

アメリカ商務省が2022年10月に改訂した輸出管理規則は、演算能力4800TOPS(1秒間に4800兆回)またはデータ伝送速度600GB/s(1秒間に600ギガバイト)以上の性能を持つ半導体の対中輸出を禁止した。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

台湾積体電路製造(TSMC)のようなアメリカ国外の半導体受託製造企業であっても、アメリカ製のEDAを使用していればこの規制が適用される。

上述の演算能力はデータセンター向けのAI(人工知能)半導体を主に想定しており、スマホ用SoCは現時点では禁輸対象に含まれない。だが、シャオミが(中国国内では製造できない)3nm以下のSoCの独自開発をさらに推し進めた場合、アメリカ政府の規制強化の影響を受ける可能性も否定できない。

(財新記者:覃敏)
※原文の配信は5月16日

財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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