Areneは、電子プラットフォーム上で動くソフトウェアの開発速度を早め、タイムリーな機能実装や機能向上を目指す開発基盤だ。トヨタはAreneを用いて、ソフトウェアのアップデートでクルマの性能が向上するSDV化の促進を目指す。
かねてトヨタでは、「もっといいクルマづくり」として「TNGA」(Toyota New Global Architecture)を、先代プリウスの時代から段階的に導入しはじめ、現在のほとんどのトヨタ車両はTNGA思想により設計されている。TNGAは、クルマの設計思想から構成要素の開発までを一気通貫させた“ものづくり”の総称で、これにより市販化が早められ、さらに多彩な車種への技術応用も実現する。
たとえば現行型「ヤリス」(ハッチバック)では、現行型「シエンタ」(スライドドアタイプのミニバン)を見越した設計がビス1本にいたるまで行われており、結果的に車両の早期市販化や、車両価格の低減に寄与している。こうした考え方はトヨタ以外でも採用され、たとえば「モデルベース開発」という表現で同様の効果を狙った一気通貫型のものづくりが行われている。
Areneでクルマは何が変わるのか?

Areneは、その一気通貫型の設計思想をソフトウェアの開発基盤に持ち込んだ。ではAreneを実装するとなにがどう変わるのか、具体的に運転支援技術群である「Toyota Safety Sense」の「衝突被害軽減ブレーキ」を例に簡単に紹介する。
従来型のソフトウェア開発では、①車両の外界情報を認識するセンサー(光学式カメラやミリ波レーダーなど)、②その情報を受けてドライバーにブレーキ操作を促すディスプレイ表示、③警告ブザーを出すための音響プログラム、④実際のブレーキ制御など、①~④それぞれに専用プログラムと構成部品をつなぐミドルウェア(相互に情報のやりとりをするプログラム)がすべての段階で必要だった。つまりソフトウェアの数が多くなり、時間もかかった。
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