日本新党の再来か、それとも… 政界ウォッチャーが看破する「安野新党」に渦巻く参院選"期待"と"不安"の正体

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選挙戦では「れいわ祭」と称するフェス形式の集会を開催。例えば、神奈川県選挙区では日本共産党とコラボレーションを組み、「選挙区は浅賀由香氏、比例区はれいわ新選組」と選挙運動を展開。質問者が納得するまで山本氏が答えるなど、「参加型選挙」を実現してきた。

さらに、タレントとしての知名度がある山本氏自身も、2013年の参院選では東京都選挙区で66万6684票を獲得して当選。その後は小沢一郎氏らと「生活の党と山本太郎となかまたち」を結成するなど、その活動が注目された。

れいわ新選組と同じく、2019年の参院選で国政政党化したNHKから国民を守る党は、地方議会政治から始まった。党首の立花孝志氏自身も千葉県船橋市議選や葛飾区議選で当選し、埼玉県朝霞市議選、志木市議選のほか、春日部市議選や東京都町田市議選などで議席を獲得した。

2019年の参院選で当選し、初登院した際の立花孝志氏(写真:Motoo Naka/アフロ)

立花氏は2016年の都知事選にも挑戦し、2万7241票しか獲得できずに落選したが、こうした活動の積み重ねが2019年の参院選の選挙区で152万1344票(3.02%)、比例区で98万7885票(1.97%)の獲得につながった。

既存政党へのヘイトをすくい取れるか

これら過去の事例から考えれば、安野氏の「チームみらい」は日本新党ほど華々しい存在とはいえず、れいわ新選組ほどグイグイと引っ張っていく印象はまだない。また、NHKから国民を守る党のようにネットでの派手なアピールもなければ、発足時がコロナ禍と重なり、ワクチン問題や食の問題で支持層にアピールできた参政党と同じわけではない。

ただし、昨年10月の衆院選で与党である自民・公明両党が過半数を割り、次期参院選でも苦戦する見込みで、有権者が既存の政治勢力に嫌気がさしていることは明らかだ。「チームみらい」は、いかにそこに入り込めるのかが課題となる。

ライバルは、目下の党勢が盛んな国民民主党や、昨年の都知事選で165万8363票を獲得した石丸伸二氏が結成した「再生の道」になる。「チームみらい」と「再生の道」はイメージが近いために、差別化が必要になるだろう。そして、既存政党であることの強みを発揮する国民民主党には、今のところ、付け入る隙はほとんどない。

いずれにせよ、新党のスタートはたやすくはないといえるだろう。だが、新しい社会の変革に必須の役割を果たすと思われる「チームみらい」のこれからは、注目に値するのではなかろうか。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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