<チョコレートが激変する「加水分解技術」とは何か>新潟県長岡市のベンチャー企業「日本ハイドロパウテック」が時間の壁を粉砕
従来のチョコレート製造は、カカオの実から種を取り出し、発酵、乾燥といった工程を経て、ローストされたカカオ豆からカカオニブを抽出する。さらに、伝統的な製法では、このカカオニブを数日間かけて丁寧に練り上げ、砂糖などを加えてようやくチョコレートのベースとなるグランドチョコレートが完成する。量産化されたチョコレートの多くは、この基本的な工程を踏襲しつつも合理化が図られているものの、本質的な生産性の低さは否めない。
しかし、日本ハイドロパウテックの技術は、カカオ豆の発酵からチョコレートの完成までを、驚くべきことに1日足らずで可能にする。
熊澤正純社長は、「チョコレートはパウダーテックにとって単なる入り口に過ぎない」と語り、その視線は食品製造全体の常識を塗り替えるという壮大な構想に向けられている。「チョコレートだけでなく、これまで発酵や醸造に頼っていた食品製造の工程を大幅に短縮し、安定した品質で狙いの特徴を備えた食品を生み出すことができる」と、その可能性を力強く示唆する。
顧客からの評判は上々
2024年4月にシンガポールにオープンしたエニワンチョコの1号店は、現地のガイドで高評価を獲得。伝統的なビーントゥーバーの高級チョコレートと遜色ない価格帯ながら、顧客からの評判は上々だ。その背景には、チョコレート製造における時間のかかる工程を劇的に短縮する同社の独自技術がある。

チョコレートの滑らかな舌触りを実現するために不可欠なカカオの微細化。伝統製法では数日を要するこの工程も、同社の技術を用いればわずか数分で理想的な粒子径に到達するという。
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