混乱する除染現場、放射性物質汚染地域に募るむなしさと不安

薫小学校が除染作業を開始したのは昨年5月。自主避難する児童が後を絶たず、薫小学校の全校生徒数は震災前より150名少ない約490名にまで落ち込んだ。残った児童や保護者の不安を取り除くため、学校は、校庭の表土除去など自主的な除染を開始した。

8月には、県の線量低減化活動支援事業として補助金給付が始まった。そこで学校は通学路の除染作業に取り組み始めたが、予算は1団体につきわずか50万円と、高圧洗浄機1台分にしかならない金額。みかねた洗浄機メーカー側が、「子どもたちの健康のためならば」と利益を度外視した価格で提供してくれたことで、ようやく20台までそろえることができた。

ただ、作業を業者に委託する予算はもうない。結局、保護者たちが週末作業に当たることになった。

2月までに除染作業が終了した通学路は全体のわずか3分の1。週末だけの作業であり、洗浄機1台が1日に除染できるのは20~30メートルに限られる。しかも、1月以降は積雪のため作業が休止に追い込まれた。汚泥の仮置き場もなく、周辺の側溝に放置したままだ。

森山校長は、「放射能の健康影響に敏感な保護者はすでに移住し、今いる児童や保護者はここで頑張っていこう、と決めた人たち。だからこそ最善を尽くしたいが、現状の方法では限界がある」と語る。

校長の下には、「もっと効率的な除染方法がある。薫小学校で実証実験させてほしい」と、メーカーからの熱心な売り込みも多い。力の限りに取り組む除染方法が本当に最適なものなのか、現場には徒労感が募っている。

除染の費用負担も、不透明なままだ。政府は自治体への費用を一時的に給付し、今後、東京電力に請求していく、という姿勢を貫く。しかし、今の除染方法には限界があり、かつ、1度の除染だけでは効果が限定的だという中で、費用がどこまで膨らむかは未知数だ。

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