混乱する除染現場、放射性物質汚染地域に募るむなしさと不安

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NPO法人「原子力資料情報室」の伴英幸共同代表は、国が目標とする年間1ミリシーベルトシーベルト以下にするには28兆円の除染費用がかかるという試算を原子力委員会に提出した。「除染費用について認識が甘いまま、東電存続への議論が進んでいる」と、警鐘を鳴らす。

東電は除染に対し、逃げ腰だ。昨年、福島県二本松市のゴルフ場運営会社2社が、東電に対して放射性物質の除去と損害賠償を求めた裁判を東京地裁で起こした。答弁の中で東電側は、「飛散した放射性物質は東京電力の所有物ではないため、ゴルフ場から検出された放射性物質には責任者がいない」という考えを示している。

今や事故処理と並ぶ深刻な問題となった除染。「子どもたちの健康を守るのに理屈はいらない。官民の力を集結し効率的な除染のためのシステムを考えるなど、最大限の措置を講じてほしい」(薫小学校の森山校長)。東電の今後を決めるうえで、汚染地域の住民を無視した議論は許されない。

■写真:薫小学校の除染作業。労働力も必要な設備も保護者の善意に支えられている

(週刊東洋経済2012年2月18日号より)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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