お菓子が映画に?「たべっ子どうぶつ」がまさかの"映画化"を果たした理由 宮本周治社長が明かす「ファンづくり」の重要性とは

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――いわゆる"ロングセラーブランド"を活性化させるためには、お菓子だけでなく、さまざまなタッチポイントも必要であると。当然、ブランドを守るという立場もあると思いますが、「ここは絶対に外さない」といった線引きは?

一番大切なのは「味」と「品質」ですね。もちろん、グッズやコラボも大切ですが、「たべっ子どうぶつ」のお菓子自体が売れているということが前提。実際にこの5年間で売り上げは2倍から3倍に伸びていますし、10年単位で見ても、ものすごく成長していることがわかります。

やはり「たべっ子どうぶつ」は、みんなが保育園や幼稚園の頃にはじめて食べた"思い出のお菓子"なので、その味が変わってしまうと「なんか違う」とすぐに分かってしまう。たとえば家でお母さんが作ってくれたハンバーグやオムライスの味が、思い出として心に残ってますよね? あれと同じで、「たべっ子どうぶつ」の味も思い出とセットになっている。だからこそ味はなるべく変えないようにしています。もちろん原材料や機械も50年前とは違いますが、それでも思い出の味を再現し続ける努力をしています。

「たべっ子どうぶつ」
発売開始から半世紀近く、世界25の国と地域で販売されているロングセラー商品だ(写真:梅谷秀司)

――映画をご覧になって、率直な感想はいかがでしたか?

「たべっ子どうぶつ」は「愛と平和」をテーマにしているお菓子なので、それがすごくわかりやすく映画で表現されていたなと。お菓子業界自体が平和産業ですし、今の時代、コロナや戦争・紛争がある中で、少しでも気持ちがホッとするような内容になっていたと思います。脚本やキャラクター、世界観など、その都度、進捗状況を共有してもらいながら、竹清仁監督や脚本家の池田テツヒロさん、TBSの方々らと一緒に「たべっ子どうぶつの世界」を広げるようにしていきました。

「たべっ子どうぶつ」のキャラクターは全部で46種類ありますが、その中でも特に人気のある9種類を選んで映画に登場させています。声優さんも魅力的な方ばかりで、「たべっ子どうぶつ」の世界観を広げてくれる役割を担ってくれています。多様性の観点でも、例えば「ぺがさすちゃん」のようなキャラクターを出したりして、今の時代に合った多様性を意識した作品になっています。

――映画の制作にギンビスはどれくらい関与したのでしょうか?

詳しくは言えないことも多いのですが、だいぶ深く関わりました。毎月、毎週、打ち合わせがありましたし、多くの方が応援してくださった。TBSさんをはじめ製作委員会のメンバーとも連携して、気持ちを一つにして「魂を込めて」映画作りを進めてきました。これは1社だけでは絶対にできなかったこと。多くの方の力と協力があったからこそ、ここまで来ることができたと思っています。

――今回の映画の着想のきっかけは、本作のプロデューサーが、「たべっ子どうぶつ」のイラストがラッピングされた営業車を街で見かけたことだったとか。

実は10年くらい前から「すべての営業車にラッピングをしよう」と言っていました。そこにキャラクターが描かれていると、ぐっと親しみがわくし、宣伝にもなる。まさに"走る広告"という感じで。営業の方も自分が扱っている商品がどういう人に買われているのか、自分が大切な商品を預かって売っているということを肌感覚で実感できる。それが商品の大切さを伝えることにもつながると思っています。

――SNSでもその営業車を目撃したという投稿をよく見かけます。

そうですね。よく写真を撮っていただいていますし、SNSでもいいねをいただいています。トミカでもミニカーにしていただいたりして、すごく広がってます。

たべっ子どうぶつの営業車
「たべっ子どうぶつ」のイラストがラッピングされた営業車は、トミカでミニカーにもなった(写真:ギンビス)
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