日本の良き習慣「お中元」や「お歳暮」が世界では"NG"のワケ――グローバルビジネスで失敗しないための倫理の新常識

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例えば、SDGs。ジャケットにSDGsのバッジを着けている人はよく見かけますが、言行一致しているでしょうか。

役員の皆さんが常にバッジは付けているけれども、二酸化炭素の排出や膨大に使っている水やエネルギーには無頓着な企業は多くあります。あなたの会社、そしてあなたはどうでしょうか。

SDGsをいくら掲げても、口だけでは意味はありません。地球規模で環境を守り、貧困や差別をなくし、誰にとっても住みやすい社会にするための世界共通目標を掲げながら、目の前の倫理意識が低いようでは、会社も個人も、若者はもちろん、意識の高い人たちからも敬遠されるでしょう。

ROIは取れるか?

国連のSDGs担当の方から聴いたことがあります。「SDGsの理念は素晴らしいのだけれど、会社としてそこに投資して、ROIは取れるのかな?」という類の質問を最も受けるのは、日本だと。

これを読んで「いや、営利を追求する企業としては当然の疑問でしょう」と思った方はいませんか。その考えがすでに時代に沿っていないのです。

これを読んで、「当たり前だろう。何を今さら書いているんだ」と思った読者もいるでしょう。

数十年前、私がコンサルタントになった時代、年度末に、自動車メーカーと製鉄会社で、3月31日の鉄板在庫をどちらの在庫として計上するかを相談して決めているのを見たことがあります。

その時代の常識で育った世代は、あらためて倫理とは何かを勉強し直す必要があるのです。

最近でも、法律や会計基準に沿わない不祥事や、法律違反ではなくてもそれはどうなの、と問われるようなことをやっている企業はあります。また、「うちはサービス業だから、SDGsってあまり関係ないんですよね。やれることもあまりなくて」と堂々とおっしゃる社長にお会いしたこともあります。

エネルギー消費はもちろん、企業のあらゆる社会との関わりを考えると、企業として取り組めることはいくらでもあるはずです。

儲かればいい時代、売上・利益が出ればいい時代は終わりました。さらに、売上や利益を上げることで何を社会に還元するのか、どのような価値提供ができるのかを考える時代になっています。倫理観の高い会社の倫理観の高い上司が慕われ、社員がエンゲージする時代です。

しかし、「倫理観」には、唯一無二の解があるわけではありません。その背景には、宗教、歴史、あるいは法律の違いがあることも否めません。

倫理観というと、一見、絶対普遍的な基準があるかのようですが、実は時代により、地域により異なるものだという理解も必要です。

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