
SDGs達成を妨げた3つの要因
──現時点ではSDGsの達成度は低いです。
確かにSDGsの達成度は低い状況にある。これには主に3つのC(新型コロナウイルス感染症、気候危機、紛争)が影響していると考えている。
まず第1に、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」だ。パンデミックで、世界の経済活動や人の流れが大きく停滞した。先進国は自力で対策を行い、そこから這い上がることができたが、途上国はそれが難しく、5年が経った今も、いまだにパンデミック前の状況に戻れていない国がある。このため数年分停滞してしまった。
第2に、「気候危機(Climate Crisis)」だ。対策はしているが、それを超えるスピードで実際の気候変動が進んでおり、さらに気候変動由来の災害が各地で起きている。一度大規模な気候災害が起きると、何十年にもわたって積み上げてきた成果が根こそぎ持っていかれてしまう。例えば、アフリカなどでは、毎年GDP(国内総生産)の2~3%に相当する打撃を気候変動・気候災害から受けているとの報告もある。
第3に、「紛争(Conflict)」だ。現在、戦争・紛争は(第2次世界大戦以降)最高レベルで増えている。大きなものとして、2022年2月24日にロシアがウクライナに対して全面的な侵攻を始めたが、「世界の穀倉地帯」での戦争のため、グローバルでの食料需給に大きな影響を与えている。
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