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SDGs啓発進める根本かおる国連広報センター所長が語る、30年までの目標達成困難でも必要な"行動"と、ポストSDGsの行方

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SDGsの普及・啓発に取り組んできた国連広報センターの根本かおる所長が語る、今後の課題 (撮影:尾形文繁)

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「SDGs(持続可能な開発目標)企業ランキング」2025年版では課題解決に取り組む企業をご紹介した。ただ、SDGsの目標年である2030年の達成には「黄信号」が灯る。こうした現状のなか、これまでSDGsの普及・啓発に取り組んできた国連広報センター(UNIC)の根本かおる所長に、現在の課題、そして日本企業や自治体・大学などが果たすべき役割について話を聞いた。

SDGs達成を妨げた3つの要因

──現時点ではSDGsの達成度は低いです。

確かにSDGsの達成度は低い状況にある。これには主に3つのC(新型コロナウイルス感染症、気候危機、紛争)が影響していると考えている。

まず第1に、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」だ。パンデミックで、世界の経済活動や人の流れが大きく停滞した。先進国は自力で対策を行い、そこから這い上がることができたが、途上国はそれが難しく、5年が経った今も、いまだにパンデミック前の状況に戻れていない国がある。このため数年分停滞してしまった。

第2に、「気候危機(Climate Crisis)」だ。対策はしているが、それを超えるスピードで実際の気候変動が進んでおり、さらに気候変動由来の災害が各地で起きている。一度大規模な気候災害が起きると、何十年にもわたって積み上げてきた成果が根こそぎ持っていかれてしまう。例えば、アフリカなどでは、毎年GDP(国内総生産)の2~3%に相当する打撃を気候変動・気候災害から受けているとの報告もある。

第3に、「紛争(Conflict)」だ。現在、戦争・紛争は(第2次世界大戦以降)最高レベルで増えている。大きなものとして、2022年2月24日にロシアがウクライナに対して全面的な侵攻を始めたが、「世界の穀倉地帯」での戦争のため、グローバルでの食料需給に大きな影響を与えている。

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