生成AI時代の作品性確立に一歩。アドビが無償公開したコンテンシャル技術は、クリエイターの権利と透明性を守る「デジタル署名」
法的拘束力はまだないものの、AIスクレイピング(ネットを探索して学習素材をかき集めること)に関する議論が絶えない昨今、業界標準として尊重される可能性は高い。時間が経過するに従い、企業ユースなどで尊重されるようになり、イリーガルなモデルは存在感を下げるだろう。
クリエイターの意思が尊重されるAIエコシステムの構築への一歩だ。
「これは人間が描いたのか、AIが生成したのか」
現時点で、その違いはわかっているような気分になっているが、一方で日に日に判別が難しくなっていることも感じているはずだ。この短期間にここまで進化した画像生成AIは、AI超解像などの技術も加わることで作品と見紛うほどの品質を持つようになっている。
コンテンツクレデンシャルに対応したシステムでは、AI生成を用いたコンテンツには自動的にその情報が付与され、人間の手による創作には「生成AIなしで作成」というタグを追加できる。
SNSやニュースを配信するCMSシステムなどが対応することで、私たちが見ている写真やイラストが、どのような出自なのかを正確に理解できるようになる。フェイクニュースやフェイク商材の広告など、真正性が問われる場面で重要な意味を持つようになることが期待される。
グローバルネットワークで守られる作品の真性
この取り組みにはLinkedIn(クリエイターの”名刺情報がわり”として利用可能になる)のようなSNSプラットフォームや、カメラ、スマートフォンメーカーなどが参加している。
まだ”そこまでは至っていない”ものの、仕組みとしてはカメラで撮影した瞬間から、その後の現像、レタッチ、公開、検索に至るまで、一貫して作品の帰属情報が維持される世界が実現する。
そのうえで生成AIの学習に関する意思表示も標準化され、尊重される仕組みが整うだろう。
現在はJPGとPNGといったの静止画像が主な対象だが、将来的には動画や音声など、あらゆるデジタルメディアに拡大していく計画だ。
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