少子化進む人口大国・中国 合計特殊出生率は日本以下に・・・ 孫の幼稚園と習い事で「月11万円超」も? 中国国民が話す「少子化の実態」とは

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人口減少に陥った中国
人口が減少に転じた中国では何が起こっているのか。写真は子ども連れ家族などで賑わう福建省福州市の観光名所「三坊七巷」(筆者親族撮影)

中国の少子化に歯止めがきかない。

2000年代初頭から中国の少子化傾向は顕在化していたが、2010年代後半以降には深刻な社会問題として広く知られるようになった。2022年には出生数が1949年の建国以来で初めて1000万人を割り、61年ぶりの人口減少に陥った。国連の世界人口推計によると2023年の合計特殊出生率は1.00で、少子化が取りざたされる日本の1.21を下回る。

一方、中国の一般市民は少子化問題に「無関心」な印象を受ける。人口大国でなにが起こっているのか。

少子化問題に対する中国人のリアルな心境は?

「若者たちが結婚や出産を望まないという現象は、私にとっていくら考えても理解しがたいことだ」。そう首をかしげるのは、上海の大学で教授を務める50代の男性だ。「さまざまな要因があるが、価値観が急速に変化しており、『子どもを持ちたくない』という気持ちも強いように思える」。

1979年から2015年にかけて行われた“一人っ子政策”に原因を求める人もいる。広東省広州で事業を営む50代女性は「少子化問題は一人っ子政策の後遺症だ」と断じる。「社会全体が『一人っ子』に慣れてしまった。都市では、親が1人目の子どもの教育に力を入れすぎて、2人目の子供を育てる自信がなくなってしまった。私の3歳の孫は、現在ピアノ、ダンスなどの教室に通っていて、毎月2700元(約5万2600円)の教育費が必要だ。9月からは幼稚園に入る予定だが、私立幼稚園の毎月の学費は3000元(約5万8400円)くらいかかる」。

「中国では『恋愛しない・結婚しない・出産しない』という傾向が広まりつつあり、これは時代の流れとなっている」と指摘するのは、香港でテレビ局のキャスターをする70代の男性だ。「また、中国経済が長期にわたって低迷していることで、若い世代の『内巻(過剰競争や閉塞感)』を招いている。中国ではここ数年間、死亡率が出生率を上回る『自然減』が続いており、この流れを逆転させるのは極めて困難だ」。

年長者たちがそう嘆く一方、20~30代の若者たちは少子化問題をどのように考えているのか。

中国南東部・福建省福州市で暮らす30代の女性歯科医師は、現状への満足を口にする。「仕事が充実している。恋愛・結婚を考える余裕がなく、異性と出会う機会を持つことも非常に難しい。現在、猫と暮らしており、その生活に満足している」。

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