反トラスト法訴訟で売却迫られるChromeブラウザーに買い手企業続々。Google側は「分割は困難」と主張
今回の裁判で、原告側の証人として呼ばれたいくつかの企業の担当者は、いずれもChromeが分割されるなら買収したいと述べている。
ChatGPTで知られるOpenAIのニック・ターリー氏は、同社がChrome買収に興味があると証言した。OpenAIはすでにChatGPTにウェブ検索機能を組み込んでいる。だがChromeブラウザーが手に入れば、ChatGPTをはじめとするOpenAIの製品やサービスを、Chromeに統合することで、広く一般にまで提供しやすくなるからだ。
AIチャットボット型のウェブ検索エンジンを開発しているPerplexityの最高業務責任者(CBO)であるドミトリー・シェベレンコ氏も、やはりChromeが分割されるのであれば、「喜んで買収を申し出るだろう」と述べた。その理由はOpenAIとほぼ同じで、買収後にChromeに自社のサービスを統合して、多くのユーザーを自社サービスに誘導できるからだ。
だが、Perplexityは4月21日に公開したブログ記事では、今回の裁判で検討される主要な救済策は「GoogleにChromeの販売を義務付けること」、「Googleに自社のデータを他社にライセンス供与させること」、「Android OSのライセンスにおけるすべてのGoogleアプリを含めなければならないという条件を切り離し、選択肢を提供すること」の3つだと述べている。
そしてPerplexityとしては、Chromeの分割より「Android OSにすべてのGoogleアプリを含めなければならない」という条件と、それを破った場合にスマートフォンメーカーに発生する収益上のペナルティをなくすことこそが、ユーザーに適切な選択肢を提供する機会になると主張している。

裁判に呼ばれた3番目の企業である米Yahooは、昨年の夏より独自のウェブブラウザーを開発中だと証言した。しかし、最初からブラウザーアプリを独自開発するよりも、買えるものならChromeを買収してしまったほうが、その知名度も相まってYahoo検索やその他サービスに大量のユーザーを呼び込める可能性が高い。Yahoo Searchのゼネラルマネージャー、ブライアン・プロボスト氏は「ChromeはYahoo!の検索市場シェアを現在の3%から2桁台にまで押し上げる可能性がある」と述べ、Chromeの分割に興味を示した。
なおプロボスト氏は、米Yahooを所有するApollo Global Managementが支援すれば、500億ドルとも言われるChrome事業買収に必要な額は調達可能だと主張した。
ChromeはGoogleから分割できるのか
もし裁判所がGoogleにChromeを分割・売却するよう命じたとして、はたして本当にGoogleからChromeを切り離すことは可能なのだろうか。
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