
グーグルが、急成長中のサイバーセキュリティー新興企業Wiz(ウィズ)を320億ドル(約4.8兆円)で買収することに合意した。クラウドコンピューティング事業を強化し、グーグルの名を広く知れわたらせた検索エンジンや消費者向けインターネットサービス以外に事業を拡張する、同社としては最大の取り組みとなる。
18日に発表された全額現金によるこのM&Aはグーグルにとって、2012年に買収したモトローラ・モビリティの125億ドルを軽く上回る史上最大の案件だ。
サイバー攻撃の脅威
今回の合意でグーグルが手に入れることになったウィズは創業5年の企業で、ほとんどの消費者にとってはなじみがないが、自社のクラウドアプリケーションのセキュリティーをウィズに頼る企業の数は増え続けている。
シリコンバレーの巨人・グーグルは昨年、何カ月もかけてウィズの買収契約をまとめようとしてきた。昨年5月の資金調達時に企業価値を120億ドルと評価されたウィズは、グーグルによる230億ドルの買収提案を7月に拒否。新規株式公開(IPO)を目指す方針を明らかにしたが、それが実現することはなかった。
両社が2026年の完了を見込む今回の派手な買収は、他企業にコンピューティングサービスを販売するグーグル クラウドの事業部門に新たな勢いをもたらすものとなる。また今回の買収は、グーグルがサイバーセキュリティー分野のライバルであるマイクロソフトに追いつこうとするための、最も果敢な試みでもある。
18日に行われた買収に関する電話説明会でグーグルの最高経営責任者(CEO)スンダー・ピチャイは、「革新的で先頭を走っているクラウドセキュリティープラットフォームである」ことがウィズを買収する理由だと説明した。
ピチャイはさらに、「サイバー攻撃のペースと影響は加速している。AI(人工知能)は新たなリスクをもたらすが、同時に新たな機会ももたらす」とし、ウィズがそうした状況への対処に役立つ可能性があると述べた。