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反トラスト法訴訟で売却迫られるChromeブラウザーに買い手企業続々。Google側は「分割は困難」と主張

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Chromeブラウザーは、オープンソースのChromiumプロジェクトをベースに構築されている。Chromiumプロジェクトを立ち上げたのはGoogleだが、Meta、Microsoft、Linux Foundationといった組織からの貢献を受け入れて開発が行われており、このプロジェクトの成果物にGoogle独自の機能追加を行ったのがChromeだ。

なお、Chromiumはソースコードと開発者向けバージョンがリリースされているが、一般向けには公開されていない。Chromiumをベースとするブラウザーの代表格としては、Microsoft EdgeやOperaなどがある。

左がChrome、右がChromiumのアイコン(画像:Google、The Chromium Projects)

Googleのブラウザー担当ゼネラルマネージャーのパリサ・タブリズ氏は、今回の裁判において、セーフブラウジングモードや、パスワード漏洩が発生した際に、そのことをユーザーに通知するシステムといった一部の機能は、Google側の共有インフラに依存していると証言し、それを理由にGoogleからChromeを分割するには技術的な困難が伴うとの考えを示した。

一方、ハーバード大学コンピューター科学教授であるジェームズ・ミッケンズ氏は、GoogleがChromeの機能を維持しながらその所有権を他社に譲渡するのは「技術的に可能」で、それほど難しいことでもないとの見解を述べた。

ミッケンズ氏と言えば、人気ゲーム『Fortnite』を開発・販売するEpic Gamesが起こした、Android OSを中心とするエコシステムをめぐる、Googleとの反トラスト法訴訟でEpic Games側の専門家として証言したことで知られる人物だ。Google側から見れば厄介な存在と言えるだろう。

ミッケンズ氏はさらに、Chromeを売却したとしても、Googleには引き続きChromeのベースとなるオープンソースブラウザーアプリ「Chromium」に技術を提供し続けるメリットがあると述べている。ミッケンズ氏いわく、GoogleのAndroid OSにも、ウェブページがスマートフォンに正しく読み込まれるようにするため、Chromiumの一部を利用していることから「GoogleにはChromiumのソースコードがきちんとメンテナンスされていることを確認する動機がある」とのことだ。

タブリズ氏はこの見解に対し実際のところとして、Googleは2015年以来、Chromiumに何億ドルも投資しており、そのコードの90%以上を提供してきたと主張した。そしていまや、Google以外の企業は「意味のある貢献をしていない」とまで述べている。

救済策の行方は…

いま現在の段階では、裁判所の判断が出るまでは、ChromeがGoogleから分割・売却されるのか否かはわからない。しかし、反トラスト法違反の判決が出ている以上、おそらくGoogleは何かを手放さなければならないだろう。

救済措置に関する裁判は現在も継続中で、結果が出るにはまだ何週間か時間がかかる。そして、もしGoogleに対しChromeの分割・売却が命じられることになったとしても、すでにGoogleは控訴する意向を示している。そのため、最終的な決着がいつになるのかは、まだ予想もできないのが実際のところだ。

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