新たな発見はS:HEVの2.5Lが図太いエンジン音であったこと。前述したように音圧は低いままだが、求める加速度に応じてアクセルを踏み込むと静寂な車内にわずかなブーンという音が耳に届き出す。S:HEVはトヨタのTHS方式なので、実際に生み出されるトルクはエンジンと電動駆動モーターの合わせ技(遊星ギア)。
よってアクセル操作に対して遅れなく反応し、加速してくれるのだが、ここで良かったのは、筆者の愛車である3.5Lエンジン車のように内燃機関特有の湧き出るトルクに似た力強い体感加速が得られたことだ。いつもは静かだけど踏むとすぐに力強く反応し、これに図太い音が加わる。まさに頼れる1台だ。
速度域を問わない落ち着いた乗り味

S:HEV/ターボ共通の美点は乗り味にあった。一般的に上下方向の揺れと表現される鉛直方向の振動(≒路面の凹凸を乗り越えた際の振動)が一発で収束する。よってスッキリとした乗り味として多くの人が好印象を抱くだろう。もっとも、ある速度域に限定すれば最近はどのクルマでも一発で収束するが、新型フォレスターの場合は少なくとも今回、体感できた130km/hまでの全車速域でそれが成立している。
「足長サスを造り慣れているな……」と感じたのは、連続する10cmほどの突起物を敷いた特設路面でも瞬時にグッと受け止める足さばきをみせたからだ。これは「ポルシェ」などのスポーツカー、「ロールス・ロイス」などのラグジュアリーセダンなど車種カテゴリーにかかわらず見られる流行のセットアップ手法だが、ホイールストロークの長い(足長の)サスペンションで豊かなエアボリュームの大径タイヤを履き、なおかつ幅広い速度域で一発収束を成立させるには技術的な難易度が高い。よってここは、各社が真剣に取り組んでいる。
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