「マニアックなのに難しくない」音楽番組が生まれては消えていく中、なぜ異色番組『EIGHT-JAM』は観られ続けているのか?

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『EIGHT-JAM』にとって転機の1つとなったのが、2017年から毎年行っているランキング企画「プロが選ぶ年間マイベスト10曲」だ。

メジャーからインディーズまで、国内外のあらゆるアーティストを音楽のプロが、プロならではの観点から10曲を厳選。そのアーティストと楽曲の凄さを語るという企画である。

この企画で、米津玄師さんやあいみょんさん、藤井風さん、Official髭男dismといったアーティストが紹介され、一気に全国区の人気ミュージシャンに昇り詰めていった。

また番組も、この企画が大きな反響を呼んだことにより、音楽をディープに深掘りする路線を走ることになった。

「ランキングで人生変わる人もいる」

この企画に初めから毎回参加している音楽プロデューサー・蔦谷好位置さんは、所属する音楽事務所アゲハスプリングスのYouTubeチャンネルで企画の舞台裏と覚悟を吐露している。

「485曲の中から82曲に絞るんですよ。そこからまたさらに25曲ぐらいに絞る。25曲には順位なんかないんですよ。バンドをいくつか。シンガーソングライターをいくつか、男性、女性、たとえばラップだったりとかダンスミュージックよりの曲、インターネットミュージック系、ボカロカルチャーとか……。有名だから入れるとかじゃなくて、よかった25曲からバランスを考えてという感じです。(中略)

M-1グランプリじゃないですけど、ランキングで人生変わる人もいるじゃないですか。同じ僕も現役ミュージシャンなんで、責任がすごく強くて間違ったこと言えないし、そのアーティストの人生に関わるかもしれない」

この証言からも、いかに通常の音楽ランキングとは毛色が違うのかがわかる。番組の方向性を決定づけたこの企画はどのようにして生まれたのか。

「音楽プロデューサーのヒャダインさんと蔦谷好位置さんに『プロでも嫉妬するような曲を挙げられますか?』という、ある種失礼なお願いをしたことから始まりました。放送してみると、すごく反響があり、音楽プロデューサー目線で選曲するスタイルを視聴者の皆さんが興味を持ってくれていると感じましたね。

この企画がきっかけで、視聴者の皆さんが知る人ぞ知る素晴らしいアーティストたちの曲に触れていただけるのは僕らとしてもありがたいですし、選者であるプロの方々が『自分たちが選ぶことで世の中に届くのなら』と苦労しながらも喜んでやってくださっていることにも本当に感謝しています」

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