「今の為替レート」は日本にとってメリットか、それともデメリットか――輸入・輸出競争力、生活への影響を徹底検証

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「令和5年度経済財政白書」によると、2010年代以降の輸出企業の数は、大企業が全体の32.6%、中小企業が67.4%を占めています。しかし、輸出額は約93%を大企業が占めている状態です。

つまり、円安で強い追い風が吹いていたとしても、大企業と中小企業ではその恩恵の大きさにかなりの差があると考えられます。

円安はいつまで続くのか 為替で世界を読む
(『円安はいつまで続くのか 為替で世界を読む』より)

マインドに与える影響

第3に、為替変動が株価や物価に与える影響は「その時々の情勢次第で、マインドに与える影響が異なる」という点です。

これはどういうことかというと、例えば一口に「円安」といっても、そのときの環境次第で人々が受ける感情が変わってくるということです。

日本は長期にわたって輸出企業が強く、円安が株価にプラスに働く歴史が長かったことから、長らく円安は人々のプラスの感情につながっていました。国内がなかなかデフレを払拭できないなかで金融引き締めは遠く、円安による輸入物価の上昇という「円安の弊害」がほとんど問題視されなかった、という部分も大きかったといえます。

しかし、企業が海外での生産拠点を増やし、輸出企業が製品を作る過程で多くの輸入を行う形に産業構造が変わり、海外製品の価格上昇が円安によって増幅されることで引き起こされた輸入インフレが、家計に打撃を与えるようになると、円安の急激な進行はもはや人々にとってマインド悪化を促すキーワードと化しました。

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