このところの円安は国力低下のせい?それとも新NISAのせい?「為替に関する臆測や誤解」を解く

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そして、忘れてはいけないのが、外国為替市場の規模です。

2022年4月時点の国際決済銀行(BIS)のデータによると、外国為替市場では1日平均7兆ドル(ドル円が157円の場合、1099兆円)取引されており、そのうち「スポット取引」と呼ばれる取引は28.1%で、約1.97兆ドル(同、309.3兆円)。

「円高を抑制」する作用

ドル円の取引は全体の13.5%を占めているので、ざっくり1日平均で約2600億ドル、40.8兆円です。

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この中において、「11カ月かけて積み上げた10兆円」は、決して大きいとはいえず、2024年に発生した円安の犯人にするのは無理があるのでは、と考えられます。

しかし、長期積み立てを前提とする新NISAのマネーは、いつかは買い戻されるものの、基本的には長い期間にわたって「円が売られっぱなし」になる要素ではあります。

また、今回の新NISAスタートによって投資に興味を持ち、具体的に資産運用を開始した個人の方々も増加した可能性があります。

円安の局面だったことで外貨預金などにも注目が集まったこともあり、新NISA以外の円売りの圧力にも繋がったと考えられます。そういう意味では、「長期にわたって『円高を抑制』する効果」になっていくのではないでしょうか。

石川 久美子 ソニーフィナンシャルグループ株式会社金融市場調査部 シニアアナリスト

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いしかわ くみこ / Kumiko Ishikawa

商品先物専門紙での貴金属および外国為替担当の編集記者を経て、2009年4月に外為どっとコムに入社し、外為どっとコム総合研究所の立ち上げに参画。同年6月から同社研究員として、外国為替相場について調査・分析を行う。2016年11月より現職。外国為替市場に関するレポート執筆の他、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」など多数のテレビやラジオ番組に出演し、金融市場の解説を行う。また、Xでの情報発信(@KumiIshikawa_FX)なども行っている。

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