スペインの研究チームが開発した触れて動かせる3Dホログラム「FlexiVol」は指先操作で94%のユーザーが素早く扱える未来のUI
一方、映像記録を3次元で記録し、立体映像として映し出せる3Dホログラムディスプレイも開発されるようになった。これはボリュメトリックディスプレイと呼ばれる、発光や光散乱により体積的な画素を生成、立体映像として可視化する技術を用いたディスプレイ装置で、実世界の物体が有する3次元情報を表現できるため、裸眼でも全方向から視認できる映像を表示できる。
近年では、非常に精細な立体映像を表現可能な3Dディスプレイが作られるようにもなってきている。だが3Dホログラムはあくまであらかじめ用意された映像を再生するだけのものがほとんどで、いくらそこに実体があるように見えても、手で触れたり、押したり引いたりして動かすことはできない。
2024年に宇都宮大学とJVCケンウッドが公開した技術では、ジェスチャーでホログラムの操作ができたが、触れることはできなかった。

しかし、いまや21世紀も1/4が過ぎた2025年だ。そろそろ、直接手で触れて動かせるような、インタラクティブな3D映像が現れてもいいと思っている人もいることだろう。実は、技術の進歩はその望みをもうすぐ叶えるところまで来ている。
「触れる」3Dホログラム実現を目指して
スペインのナバーラ州立大学の研究チームは、「触れる」3Dホログラムを実現することにフォーカスし、まるでそこに実体があるように操作できる真のホログラムディスプレイを目指す「FlexiVol」を開発した。

2Dのディスプレイはスマートフォンに搭載されたタッチパネルの進化により、そこに映るオブジェクトに対しドラッグ、拡大縮小、回転、押し込みなどの操作が可能になった。研究チームは、こうした現実世界と同様の操作を3Dディスプレイにも持ち込み、より没入感が高く自然な体験を開発しようと考えた。
3Dホログラムを表示するボリュメトリックディスプレイは、ディフューザーと呼ばれる高速振動シートを備えており、その振動に同期して1秒間に数千枚もの画像を投影することで立体的な映像を表現する。
もし、そんな3Dホログラムに手を触れようとすれば、ディフューザーに触れた瞬間に指先の肉が削られ、あたりを血だらけにしかねない。研究チームはそんな振動シートの代用品となる、より弾性のあるさまざまな材料を何種類か用意して、その光学特性と物理的特性を検証した。
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