スペインの研究チームが開発した触れて動かせる3Dホログラム「FlexiVol」は指先操作で94%のユーザーが素早く扱える未来のUI
その結果、研究チームは触れても安全なディフューザーになりうるものとして、いわゆるエラスティックバンド(ズボンのウエスト部分に使われるような、ゴムのように弾性のある平たいバンド)を探し出してきた。
エラスティックバンドでディフューザーを構成したFlexiVolでは、スワイプやピンチ、回転など、2Dのタッチスクリーンですでに使い慣れているジェスチャーを、3Dホログラムのオブジェクトに対して安全に適用可能になった。
ただ、弾性を持つディフューザーは、激しく動かしたり手で触れれば変形する。そのまま3Dホログラムを投影しても、歪んでしまう問題があった。研究チームは、変形したぶんのひずみをソフトウェアで補正するしくみを追加し、より高解像度なカメラを用いて、映像の画質と解像感を維持するように調整した。

これで、手で触れても安全な3Dホログラムディスプレイができあがった。最初のステップとして、研究者たちは空中に3D立方体を投影し、触ったり動かしたりできるようにした。この3D立方体の表面を、人差し指と薬指を足のように使って歩くようにしてみたり、複数の人が同時に3Dホログラムを操作することもできた。3Dディスプレイは何らかの共同作業にも活用できる。

触れる3Dホログラムは扱いやすいのか
研究チームは次に、18人のボランティアを集め、FlexiVolで表示した3Dホログラムのオブジェクトに対するインタラクション方法としてオブジェクトの選択、オブジェクトのトレース、オブジェクトの挿入の3種類を試し、同じ動作を3Dマウスで行った場合と比較してみた。
「オブジェクトの選択」というのは、わかりやすく言えば3Dホログラム表示された物を指でつついてみる動作。これは明らかに3Dマウスを使ったインタラクションよりも実際に指でつつくほうが早く、直観的に実施できた。
つづいて行われたのは「オブジェクトのトレース」動作だ。トレースとは、日本語で「なぞる」ことを意味する。つまり、ホログラムで示された動くオブジェクトを追いかけて、指で触れ続ける動作を試した。3Dマウスの場合は、マウスカーソルで指と同じようにオブジェクトを追った。この結果は、意外にも指と3Dマウスの間に大きな差は生じなかった。
ただし、指先で触れ続けるほうが、より正確な追跡ができ、移動距離も(多少ショートカットしてしまう)3Dマウスより長めになった。
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