スペインの研究チームが開発した触れて動かせる3Dホログラム「FlexiVol」は指先操作で94%のユーザーが素早く扱える未来のUI

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3Dホログラム
検証実験の様子(画像:UPNA)

3つめの検証項目である「オブジェクトの結合」では、一部が欠けた立方体のオブジェクトに対し、その欠けた部分のパーツを、指先および3Dマウスでドラッグアンドドロップ式に合体させるという、簡単な立体パズルの操作を試した。

この実験では、動作の完了にかかる時間は指先のほうが早かったが、合体させる際のオブジェクトの位置決めの正確性は3Dマウスに軍配が上がった。

3Dホログラム
検証実験の様子(画像:UPNA)

3つの実験を通じた結果としては、3Dマウスを使用した場合に比べ、94%のユーザーがオブジェクトをより早く扱えると感じ、67%のユーザーがより正確に扱えるように感じたと回答した。つまり、3Dホログラフィックを手で操作できれば、3Dマウスなどでリモコン的に操作するよりも正確かつ自然で、ストレスも少なく感じられたということだ。

この技術は美術館や博物館など、公共の空間で活用されるようになるかもしれない。研究チームは「たとえば来場者がコンテンツに近づき、インタラクションできる美術館などで特に役立つだろう」と例を挙げた。

まだ残る課題…いつか実用化も?

なお、まだFlexiVolには足りない要素がある。それはオブジェクトを手で触った感覚が実際の場合とは異なるという点だ。3Dホログラムによって、そこに物体があるように見え、さらにそれを手で扱えたとしても、その指先に触れる感覚は、実際のところ、激しく上下動するゴムバンドでしかない。

研究チームは触覚フィードバックをシミュレートするために、集束超音波やカーボンナノチューブをポリエステル繊維表面へコーティングした導電性糸といった素材を利用するなどして、設計をさらに改良することを考えているとのことだ。何年か後には、もしかすると本当に手で持っているように感じられる3Dホログラム技術が発表されているかもしれない。

FlexiVol
FlexiVolを使った実験の様子(画像:UPNA)

ちなみにナバーラ州立大学の研究チームは、横浜で4月26日から5月1日まで開催される、「人と情報システムの相互作用に関する国際会議(CHI)2025」で、この研究について発表する予定だ。

タニグチ ムネノリ ウェブライター

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たにぐち むねのり / Munenori Taniguchi

電気・ネットワーク技術者として勤務したのち、Engadget 日本版(閉鎖)でウェブライターとして執筆開始。以降、Autoblog 日本版(閉鎖)、Forbes JAPAN、Gadget Gate、Techno Edgeなどでグローバルなトピックを中心に執筆。得意ジャンルはIT・ガジェットからサイエンス、宇宙、自動車・モータースポーツ、音楽・エンタメ、ゲームと幅広い。

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