京都で”1泊2食付き”をやめる旅館が続出。「素泊まり」「飲食店の予約代行」にシフトの背景には外国人観光客の≪正直な本音≫があった

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現在は朝食としてご飯や味噌汁、豆腐などの日本食と、パンやカレーライスなどの少ない品数をビュッフェ形式で用意している。残ったものをアルバイトの賄いにできることも結果として良かった。

提供をやめたことでクレームも激減した。朝食は別途料金が不要で、食べる・食べないは自由というスタイルだから朝食がクレームになることもないのだ。

「以前は食事を提供する際、従業員たちの間に緊張が走りましたが、今は皆ゆったりと働いていて館内の雰囲気も良いです」と旅館Aの経営者は嬉しそうだ。

今回話を聞いた旅館A以外の3つの宿泊施設も同様に課題を抱えていて、それぞれ対策を進めている。

旅館Bでは、仕出し弁当付きのプランを販売していたが、あまりにもキャンセルが相次いだため、そのプランの販売をやめ、飲食店の予約代行をすることにした。日本語も英語も達者な日本人が間に入ることで、予約先の飲食店も安心して予約を受けてくれ、宿泊客からも喜ばれている。担当者は「業務が(仕出し弁当の準備に比べ)倍以上になり、大変だがそれでも喜んで貰えるから今後も継続して頑張りたい」と語る。

旅館Cでは、素泊まりへとプランを切り替えた。滞在期間中のおもてなしに徹することができるとあって、評判も上々だという。

旅館Dでは、提供する食事メニューにすき焼きや、しゃぶしゃぶを加えた。これが大当たりだった。旅行情報誌に掲載される飲食店はどこも人気で、希望日に予約が取れなかったり、電話で予約しても、言葉が通じなかったりするからだ。そこで宿泊する施設で提供ができると、飛ぶように売れた。

「料理なし」にはリスクも

京都では外国資本の宿泊施設が増える一方だ。外国人が外国人向けに作り、値段も手頃だし、なにより言葉が通じる。

そうして競争が激化する中で、顧客のニーズに合わせサービスを変化させる必要が出てくるのは当然ともいえるが、外国人に照準を絞ったサービスをするのはリスクもはらんでいる。

コロナのようなパンデミックや、国際問題などさまざまな理由でいつ足が遠のくのかわからないからだ。

インバウンドの盛り上がりとは裏腹に、京都の老舗旅館は難しいかじ取りを迫られている。

後藤 華子 ライター

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ごとう はなこ / Hanako Goto

居酒屋とサブカルチャー好きのアラサーライター。大阪を拠点に活動中。広告制作会社での企画営業職、観光業向けのITツールの営業職を経て、ライターに転身。現場の声に耳を傾け、等身大の目線で「今」を伝える。

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