謝罪に追い込まれた石橋貴明 頑なに貫いた「悪ノリ芸風」がハラスメント認定に至った背景

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たとえば、2002年放送の『うたばん』(TBS系)では、ゲスト出演したアイドルバンドのZONEのメンバーだった当時15歳の女性に対して「なんか、〇〇〇〇(男性器の呼称)の先っぽみてえだな」と言い放ち、本人を泣かせていた。これは当時も問題になり、TBSが謝罪する事態となった。

1992年には『とんねるずのみなさんのおかげです』(フジテレビ系)に出演した女性出演者が石橋からセクハラ的な発言を連発されたことに憤り、訴訟を提起したこともあった。このときには和解が成立して終わっていたが、今の時代であればもっと騒がれていただろう。

テレビで彼の活動を見てきた人間であれば、彼が過去に数え切れないほどパワハラ・セクハラ的な振る舞いをしてきたことを知っているはずだ。昔はそういうものが容認されていたところもあったが、現代に近づくにつれて、彼の言動が公に批判されることが増えてきた。

石橋の「パワハラ・セクハラ的な笑い」がすっかり時代遅れのものになってしまった背景には、彼自身の芸風と、社会において変化した価値観との間に生じた決定的なズレがある。

芸能界に風穴をあけた斬新な存在

石橋は若い頃から、自らの芸を「素人芸」と位置づけていた。予定調和を壊し、型にはまらずに暴れ回ることで自由な芸風を体現してきた。その出発点は運動部の「部室」的な空気であり、体育会系の上下関係の中でふざけあうノリに根ざしていた。それがかつては、閉鎖的でお高くとまっている芸能界に風穴をあける斬新な存在として支持されていた。

しかし、問題は、時代が流れてもその基本的なスタンスを変えようとしなかったことにある。部室的な悪ノリを本人たちは「昔からの持ち味」「自分たちの本質」として頑なに守ってきたが、それが現代においてはただの「非常識」や「権力者の横暴」として認識されるようになった。

とんねるずが芸能界で成功して、権力者の立場になったことで、彼らの自由な芸風は「立場を利用したハラスメント」に見えてしまうようになった。

石橋貴明
(2009年撮影:Splash/アフロ)
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