例えば、本書に掲載されているRSTの「係り受け解析」の問題です。
この問題は、頭の中で国を並べて、それぞれの宗教を重ねてイメージすることで、正解は「キリスト教」だとわかります。
著者の新井さんがおっしゃる、「修飾語と被修飾語」のような文の構造を正確に読み解く力は、こういった空間的にイメージする能力も関係しているんじゃないかと思いました。
識字率が高いのに正しく読めない
僕が本を書くときには、まさにものごとを構造的にとらえることを大切にしています。
立体的なパーツがたくさんあって、そのパーツをどうやって組み合わせると一冊の本になるのか。コンセプトを考えているときも、そのパーツを頭の中で概念図のような感じで組み合わせるのです。
知識と教養、という関係も構造化が必要です。
知識は、頭に断片的な情報が並列で存在しているだけであって、教養はその断片的な知識をいかにして網の目のようなネットワークに構築していくかということ。自分の頭の中で、網の目のように知識をネットワーク化することで、1つの世界観になっていくというのが教養です。
その網の目のネットワークを築くための基礎になるのが、シン読解力です。
300の知識があれば、その300の知識を1つの絵の中にジグソーパズルのようにはめていく作業が必要です。それを構築できる力は、文章の構造を正しく読み解くシン読解力があってはじめて成立するのだと思います。
新井さんがRSTの開発を始められたとき、日本人は識字率が際立って高いのにもかかわらず、文章の意味を正しく理解して読めている子どもが少ないことは衝撃的だったと聞きました。
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