成功するテック系スタートアップは、どのように事業を立ち上げ、ビジネスモデルを実現するのか?

テック系のスタートアップは、限られた資源でどのようにビジネスモデルを設計し、事業を拡大しようとしているのでしょうか(写真:metamorworks/PIXTA)
近年、注目を集めているのがディープテック系のスタートアップです。ディープテックとは、科学的な発見や革新的な技術をベースに、国や世界が解決すべき課題に大きなインパクトを与えうる技術のことです。
地球環境問題や、制御されないAIへの不安が取り沙汰される中、技術立国ニッポンから生まれるスタートアップに期待が寄せられています。日本のテック系スタートアップはこの期待に応えられるのでしょうか。
筆者らはこの点を解明するために、世界最先端の学術論文をレビューし、現場に足を運んで調査を行ってきました。NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の協力も得てディープテック系25社の経営者にインタビューを行い、その時々の経営課題と構想について語っていただいたのです。
その結果、テック系スタートアップ固有の課題が浮き彫りになりました。それは、シリコンバレーのIT系で生まれた「起業の手法」では、必ずしも対応しきれるものではありません。なぜ、従来の手法が通用しないのでしょうか。以下では、その原因を考察し、テック系企業に向けた「成功のレシピ」を提供します。
日本のイノベーションを担うべきは誰か
経済産業省の調査によれば、国内の研究開発の約9割を担っているのは大企業だと示されています。しかし、驚くべきことに、その約6割が活用されずに社内で眠っているそうです。
社内起業家たちにその理由を問うと、「社内では量産できない設計となった」「社内が求める安全性には、とうてい及ばない」「売上規模が社内の基準を満たさない」「上層部を説得できるようなビジネスモデルを提示できない」と言います。
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