成功するテック系スタートアップは、どのように事業を立ち上げ、ビジネスモデルを実現するのか?

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上場企業を対象にした調査では、最も多くの企業に採用されているモデルは「価値連鎖型」で、次に「リカーリング型」、最後に「三者間市場型」となります。しかし、パフォーマンス(売上高営業利益率とセグメント資産営業利益率)はその逆で、一番高業績なのが「三者間市場型」、次に「リカーリング型」、最後に「価値連鎖型」となります。

定評のあるレシピを整理する

それでは、テック系スタートアップは、どのようなレシピで勝負しているのでしょうか。テック系の起業家にとって、自社が扱っている技術というのは「虎の子」のようなものです。大切に育て上げ、社会実装させなければなりません。この技術をもとに立ち上げたスタートアップは、自分のキャリアを懸けた唯一無二の会社となります。それゆえ、起業家は破綻させないために懸命に努力します。

ところが、テック系の事業というのは、事業を立ち上げるまでに時間がかかるうえ、その直後から急成長するようなことも稀です。気が遠くなるような年月が必要なこともあり、起業家としては、その道のりをどのように乗り切るのか、いかにして理想とするビジネスモデルを実現するのかに頭を悩ませます。

私たちの調査と研究から、資金調達に成功しているビジネスモデルには3つの特徴があることがわかりました。

iPhone型のモデルを最終形とする

第1に、研究開発から収益化まで長い時間を必要とするテック系スタートアップは、投資を抑えて限られた自社の資源を有効に活用するために、外部の資源を最大限に活用できるビジネスモデルをめざしていることがわかりました。先のビジネスモデルのレシピでいえば、補完財プラットフォームに代表される「三者間市場」のビジネスモデルです。

補完財プラットフォームの典型例は、スマートフォン、パソコンのOS、家庭用ゲームです。たとえばiPhoneでは、開発パートナーが補完財としてのアプリを提供してくれるので、iPhone本体の価値も高まり、利用者が増えていきます。

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