食堂でも怒鳴り声…《教官は候補生を選んで挑発》 アメリカの世界最強「海兵隊」士官候補生学校の"あまりに過酷な実態"

米副大統領、バージニア州の海兵隊基地を訪問の際の写真(写真:ロイター/アフロ)
アメリカ軍の中で「即応部隊」と位置付けられ、世界最強とも言われる海兵隊。その現場リーダーを育成する士官候補生学校(OCS)では厳密な規則が課されていました。一見無意味に思える過酷な訓練の真の意味とは? ナサニエル・フィック『死線をゆく アフガニスタン、イラクで部下を守り抜いた米海兵隊のリーダーシップ』(訳・岡本麻左子)より、前後編にわけて紹介します。(前後編の前編)
昨日の成功に意味はない
OCSにはちょっとした屈辱感を味わわされる待遇が数々あるが、身体訓練シャワーもそのひとつだ。石けんなしで冷たい水を40人の近しい仲間と一緒に浴びる。小隊が服を脱ぐ間に、教官が共同浴場のシャワーノズルをすべて開く。
そこを一列になって〝連ケツ〟で歩き、水を噴射するシャワーヘッドの前を通り抜ける。砂だらけの手足を泥だらけにするには充分な水量だが、洗い落とすのに足りたためしはない。タオルでさっとぬぐって服を着ると、わたしたちは丸太走で乱れた呼吸のまま、パレード・デッキを行進して横切っていった。
小隊は候補生が十数人ずつ縦に並んで3列で行進する。どこへ行くにも行進、さらに夕方の1、2時間をパレード・デッキで費やすのが常だった。オールズ軍曹はそれを〝バスの運転〟と呼んでいた。端から端まで行進し、回れ右をしてまた行進、そしてそれを繰り返す。わたしたちはM16を右肩に担い、地面と平行に伸ばした片手で銃床を握って行進した。
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