「アメリカは第1次トランプ政権の時代から(中国の輸出や東南アジアを介した迂回輸出に対する)関税を何度も引き上げてきた。わが社がカンボジアに工場を建設した時、ハンドバッグの関税はほぼゼロだったが、現在は10%を超える」。前出の関係者はそう話し、相互関税による負担の上乗せに頭を抱えている。

トランプ政権は、インドに対しては相互関税を東南アジア諸国よりも低い26%に設定した。そのため、この関係者はアメリカのバイヤーの調達先が東南アジアからインドに移ると予想し、次のようにこぼした。
「東南アジアに工場を持つ中国の服飾品メーカーは、(工場をたたんで)帰国して新たな顧客を探さざるをえないだろう。とはいえ、アメリカに代わる大市場を短期間で見つけるのは困難だ」
赤字受注でも「廃業よりまし」
2025年1月に発足した第2次トランプ政権は、中国からのすべての輸入品を対象に、2月と3月に合わせて20%の追加関税を課した。
中国国内の輸出企業にとっては、それだけでも大変な重荷だ。靴類の輸出を手がける山東省青島市の貿易業者は財新記者の取材に対し、20%の関税の負担を自社と顧客で折半していると明かした。
「このご時世に、10%を超える利益を上げている会社がどれだけあるのか。わが社の受注も赤字だが、(注文を失って)廃業に追い込まれるよりましだ」と、この貿易業者は嘆く。

中国の製造業が生産拠点を海外に移す流れは、“トランプ関税”の影響で変わるのだろうか。ミャンマーでアパレルの生産と輸出を手がける関係者は、財新記者に対して自身の見方をこう語った。
「今の中国の若者はアパレル工場で働きたがらない。仮にアメリカの追加関税がなくても、中国で新たな労働力を見つけられなければ、工場を海外に移転するしかない」
(財新記者:馮奕銘)
※原文の配信は4月3日
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