トランプ関税の効果と決定の内側(下)関税引き上げの最終目標は所得税廃止。「恐怖戦略」成功なら次の標的は通貨
両調査とも関税引き上げへの賛成率は40%に達しないが、ロイター通信とIpsosの調査の回答者が共和党支持者、民主党支持者で半々だったことを考えると、少なくとも共和党支持者はおおむね肯定的と言えそうだ。ただ、関税引き上げで1世帯当たり年間3500~7000ドルの負担増になるという予測もあり、実際に物価が高騰すれば評価は変わるかもしれない。
次に政治家の反応を見てみよう。
野党の民主党上院院内総務のチャック・シューマー議員は「トランプ大統領はおそらく歴史上初めて、最も馬鹿げた、最も回避可能なリセッションに国民を導いている」と手厳しいが、少数野党の民主党にトランプ大統領を止める方法はない。
4月8日の『ABC News』は、共和党議員の動向について「今までのところ共和党内でトランプ支持層に亀裂が生じるとか、議会でトランプを抑え込む試みが行われる兆しはない」(「Republicans Ted Cruz, Rand Paul speak out on risks of Trump tariff policy」)と伝えている。
共和党議員から懸念の声も
ただ、共和党議員も、手放しでトランプ関税を支持しているわけではない。トランプ大統領の熱狂的支持者で有力議員のテッド・クルーズ上院議員は『Fox News』で「関税は消費者に対する税金であり、支持できない。私は、こうした関税が短期間で終わり、世界中の関税を引き下げる交渉のテコになることを望んでいる。関税が長期間にわたって課される場合、インフレが高進し、雇用を損なう可能性がる。今後30日から60日、あるいいは90日、アメリカが外国製品に高関税を課し、外国がアメリカ製品に高関税を課すというシナリオが実現したら、世界は悲惨な結果を迎えるだろう」と語っている。
ジョン・コーニン上院議員も「誰も近い将来、リセッションが起こることを望んではいない。トランプ政権と外国の間で取引が行われるだろう。トランプ大統領はディール・メーカーである。長期的にネガティブな結果を避けるために多くの取引が行われることを願っている」と、トランプ大統領の「交渉」に期待している。
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