ウイルス変異?生活の変化?流行のピークがずれている「急性胃腸炎」で考えられること《ノロウイルス》対策がまだまだ必要なワケ 

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「きちんとした食中毒を予防する方法を、従業員はもちろんアルバイトの人々にもきちんと教え、守らせているか、今一度徹底してほしい。それがお客を守り、店を守ることになる」と岡部医師は話している。

万が一かかったら脱水を防ぐこと

もちろん、どんなに予防しようとしても100%ではない。かかってしまったら、どうしたらいいのだろうか。

ノロウイルスに特効薬はない。吐き気止めや下痢止めなど薬による対症療法はあるが、無理に嘔吐や下痢を止めようとすると、腸管内のウイルスを排出できなくなってしまうので、強力な下痢止めや吐き気止めはあまり使わないほうがよい。

重要なのは水分の補給で、脱水症になることを防がなくてはいけない。症状が激しい場合や、水が飲めず脱水症状が疑われるような場合は、早めに医療機関を受診しよう。

脱水症状になっているかどうかは、口がカサカサになるなどのほか、尿が1日2~3回程度しか出なかったり、色が濃かったりすることで見当がつくという。

春になり、今後はノロウイルスによる感染性胃腸炎の患者数は減少すると岡部医師は推測する。しかしながら、ノロウイルスがゼロになるわけではなく、またほかのウイルスによる感染性胃腸炎がなくなるわけではないので、これからも予防は必要だ。

健康な人は、自分はかかっても構わないと考えるかもしれないが、乳児や高齢者、介護者、重症者リスクのある人といった弱い立場の人にうつさないよう気をつけるという感染症対策の基本は、引き続き忘れないようにしたい。

「完璧にやろうとするとそのことで疲れてしまうので、無理のない範囲で日常の予防を心がけてください。感染症の流行を全部止めるのは難しいですが、手放しで流行らせないように気をつけたいですね」(岡部医師)

井上 志津 ライター

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いのうえ しづ / Shizu Inoue

東京都生まれ。国際基督教大卒。1992年から2020年まで毎日新聞記者。現在、夕刊フジ、週刊エコノミストなどに執筆。福祉送迎バスの添乗員も務める。WOWOWシナリオ大賞優秀賞受賞。著書に『仕事もしたい 赤ちゃんもほしい 新聞記者の出産と育児の日記』(草思社)。

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