まさかのトランプ関税の一部「90日間停止」だが…高関税をかけたがる背景事情
9日の追加関税発動は、アメリカの輸入品について、従来の関税に日本は24%、EU(ヨーロッパ連合)は20%上乗せされ、中国104%となりました。関税とは海外から商品が自国に入ってくるときに、政府がその商品に対して課す税金です。
輸入品目ごとに税率が違うのですが、世界銀行が運営しているWorld Integrated Trade Solution(WITS)の直近試算によると、直前でウェブサイトから公表される暦年平均でアメリカの日本からの輸入に対する平均関税率は3.54%でした。これに24%上乗せされると、平均して27%を上回る関税がかかることになりました。一旦、今回の大幅な追加関税の上乗せ分は90日間停止されましたが、その間に貿易交渉でアメリカの意向に沿わなければ、この高関税率が適用されます。
このように関税を大幅に上げた理由として「非関税障壁を考慮すると、日本はアメリカに対して46%の関税を課しているから」とされています。「46%」の数値の根拠が明らかではないとの批判が少なくないですが、トランプ氏は、日本の高い関税に対応して、お互いに関税をかけたにすぎないという理屈で 、相互関税を果たしたと主張しています。
ちなみにWITSの直近試算で日本のアメリカからの輸入に対する平均関税率は3.63%でした。平均関税率で見ると、アメリカと日本はほぼ同程度になります。
アメリカは日本に製品を輸出しにくい?
トランプ氏が高関税を課すのは、日本に貿易赤字の是正を求めているからです。2024年のアメリカの貿易赤字の第7位が日本です。その原因に非関税障壁の影響で、アメリカが日本に製品を輸出しにくいことがあるとみています。
非関税障壁とは「関税以外で外国からの輸入を難しくする仕組み」のことです。アメリカが指摘する日本の非関税障壁の1つが流通・販売チャネルの閉鎖性です。
わかりやすい例で、お菓子市場のケースは、スーパーなどでのお菓子は系列の問屋などを通じて決まった日本のメーカーの商品が販売されるため、海外メーカーのお菓子の参入が難しいとされています。農産物についても、農協とスーパーとの強いつながりが輸入果物の取り扱いの制約になっていると言われます。それ以外にも、日本では右ハンドルの車が一般的なので、左ハンドルの輸入車が売りにくいことや、農作物の衛生基準の違いなどもあります。
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