まさかのトランプ関税の一部「90日間停止」だが…高関税をかけたがる背景事情
わが国の慣行や基準の見直しが難しいものも少なくないなか、今後、現実的に可能な範囲で規制緩和の具体化を提示することもアメリカとの交渉材料になりそうです。
トランプ氏は高関税や他国への市場開放圧力を通じて、アメリカの製造業の復権を目指しています。平均関税率を使った単純な例で見てみましょう。1万ドル分の日本製品を輸入する場合、アメリカではこれまで1万354ドルで買うことができたのですが、関税が上がったことで同じ製品を買うには1万2754ドルが必要となります。値段が上がった日本製品より、アメリカ製品に注目が集まり、その需要が高まることで、アメリカでの製造が増えることが狙いです。
トランプ大統領の関税政策の背後にあるもの
こうしたトランプ氏の関税政策の背後には、3月から大統領経済諮問委員会の委員長を務めているアメリカの経済学者スティーブン・ミラン氏の提言があります。同氏の論文「グローバル貿易体制再構築のためのユーザーズ・ガイド」のなかで、まず、ドルの基軸通貨の役割が必然的にドル高に働くことが指摘されています。企業が国際間で取引をする際にドル決済が多いため、ドル需要が高まり、アメリカの製造業に不利なドル高につながるというものです。
これに対して、ミラン氏は関税を戦略的に使って、国内産業を保護する提言をしています。輸入品の値段が上がることでの物価が上昇(インフレ)する懸念に対しては、ドル安の通貨政策を取ることでインフレの影響を抑えられると論じています。
こうした流れから、今後、アメリカは日本に対して円高・ドル安誘導へのプレッシャーをかけてくる可能性が高いでしょう。
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