ついにユン大統領が罷免、"次期大統領"が有力視される「韓国のトランプ」とはどんな人物か

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家が貧しかったため、小学校を卒業するとすぐに工場で働いたという。後に中・高の卒業資格検定試験を経て、奨学金で中央大学法学部に入学。卒業と同時に司法試験に合格し、検事への道も開かれたが、故ノ・ムヒョン元大統領の講演に感銘を受け、弁護士の道に進んだと伝えられている。

2010年に京畿道にある城南市の市長に当選して政界入り。同市長を2期務めた後、2018年には京畿道知事に当選している。

実は、この知事在職中にも、城南市長時代に権力を行使し、実兄を精神病院に強制的に入院させた疑惑について否定した答弁をめぐり、虚偽事実の公表嫌疑で起訴されている。判決は最高裁まで持ち込まれたが、結局、二審の有罪は棄却されて無罪となり、起死回生した過去がある。ここで有罪判決が出ていれば、被選挙権は剥奪され、現在のイ代表はなかった。

実は日和見主義者かもしれない

選挙は「生き物」といわれる。とくに韓国の選挙は何が起きるか予測もつかない波乱を含むが、もしイ代表が次期大統領となれば、日韓関係は相当厳しくなることが予想される。

イ代表はこれまで、2016年に日本と韓国が締結した「GSOMIA(日韓軍事情報保護協定)」に強硬に反対。福島原発の処理水放流の際にもユン政権を激しく非難し、自ら街頭に立ち、「核汚染水の放流は第2の太平洋戦争」を叫んだ。

ただ、前出の韓国紙記者はこうも言う。「イ代表には確かな信念は見られない。ただ、世論の流れを見極めて声を上げてきた。第2次トランプ政権が誕生し、韓日の協力が望まれるこの時期なので、イ代表も自重するのではないか」。

イ代表は次期大統領を見据えて、1月に中道層を狙って「脱理念、脱陣営。実用主義の立場が重要」と発言したことがあった。水嶋光一駐韓日本大使との面会の席では「個人的には日本への愛情はとても深い」とも語っている。

韓国の次期大統領選挙は6月3日の投票日が有力視されている。弾劾賛成派と反対派の対立も大統領選挙へと延長され、韓国社会の混沌は増すばかりだ。

菅野 朋子 ノンフィクションライター

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かんの ともこ / Tomoko Kanno

1963年生まれ。中央大学卒業。出版社勤務、『週刊文春』の記者を経て、現在フリー。ソウル在住。主な著書に『好きになってはいけない国』(文藝春秋)、『韓国窃盗ビジネスを追え』(新潮社)がある。

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