ついにユン大統領が罷免、"次期大統領"が有力視される「韓国のトランプ」とはどんな人物か

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内乱罪の捜査権がない機関による捜査・拘束、国務総理などへの無理筋な弾劾訴追などは、世論をさらなる対立に追い込んだ。憲裁での審議期間も前例になく長かったことから、認容か棄却か、いや却下ではないかという予測が前日まで乱舞し、弾劾賛否の市民の対立も最高潮に達していた。

4月4日現在、弾劾に反対していた1人の男性が宣告に憤り、警察車両の窓をこん棒のようなもので破損し、現行犯逮捕されたが、予想されていたような暴動騒ぎは起きなかった。ただ、弾劾反対派は宣告結果に承服しないとして、反対デモを継続するとしている。

憲裁の宣告を受け、ユン氏は支持層に向けて「皆さんの期待に応えられず、非常に残念で申し訳ない」という内容の短いメッセージを出し、与党「国民の力」は「(罷免結果を)重く受け止め、謙虚に受け入れる」という代表談話を出した。

一方、憲裁の評議期間の長さに「もしや棄却か」と焦りを見せ、「(憲裁の宣告へ)抵抗も辞さない」などと扇動的な発言を繰り返していた最大野党「共に民主党」は一転、「全員一致で弾劾罷免の判断を下した憲裁の裁判官に尊敬の念を表し、感謝する」「民主主義バンザイ」と憲裁の裁判官を称えた。

同党のイ・ジェミョン代表は「これ以上憲政が破壊されないよう、全力を尽くします」とコメント。まるで政権を取ったかのような言動だった。

最新の世論調査で支持率"独走中"

だが、そうなるのも無理はない。憲法にのっとり、現大統領の罷免が宣告された時点から2カ月以内に次期大統領選挙が行われることになるが、直近の世論調査「韓国ギャラップ」(4月4日)で、イ代表は「大統領にふさわしい人物」として支持率34%と独走中。現時点で次期大統領候補の最有力候補とみられている。

イ代表は2022年3月の大統領選挙にも党の候補者として出馬し、ユン氏に0.73ポイントという超僅差で敗れた。野党支持層は、ユン氏が大統領に就任した3カ月後から弾劾のデモを繰り返してきた。

ただ、野党が浮かれるのはまだ早い。世論調査の支持率で独走しているとはいえ、支持率の倍近くとなる66%が次期大統領候補者の名前を挙げていない。その背景には、現在、土地開発疑惑など5つの裁判を抱えているというリスクがある。

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