実は日本一の神戸空港、「実力発揮」に向け残る課題 国際線就航も“鉄道”はポートライナーだけ

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これに対して神戸市は、JR・私鉄のターミナル駅が集まる三宮や、山陽新幹線・新神戸駅からのバスの増便で対応する。三宮―神戸空港の所要時間は22分程度。ポートライナーの19分に比べると数分の差があるが、乗り換えにかかる時間や、大きな荷物を入れるバゲッジスペースがあることに着目する利用者も多いだろう。

神戸市は新神戸駅―三宮駅―神戸空港のバス便を「マリンエアシャトル」と名付けて定着をねらう。神姫バスが運行する同路線のバス便に加え、本四海峡バスなどが運行する神戸空港―新神戸駅―徳島の長距離バスのうち、神戸空港―新神戸駅の部分もマリンエアシャトルと位置付け、神戸空港と鉄道駅の連絡バスとして利用を促す。

神戸空港 開港記念日イベント
2025年2月の開港記念日イベント。2026年には開港20周年を迎える(筆者撮影)

「普通鉄道」を求める声も

経済界が熱望しているのは、2本のレールがある普通鉄道の乗り入れだが、これは現実的でないとの見方が多い。JRや私鉄、神戸市営地下鉄などの線路を神戸空港まで延伸するとなると、どこにどう建設することを考えても費用が莫大になるからだ。そもそも線路を敷設する場所がなく、用地買収だけで巨額になる。

可能性があるとすれば現在のJR摩耶駅から、貨物駅だった旧神戸港駅に延びていて廃線になった臨港線の跡地だろう。現在は遊歩道になっているが、これを鉄道用地として改めて活用するとなれば既存の鉄道が走る陸上から沿岸部に線路を通す用地は確保できる。

ただ、このルートでは神戸空港に降り立った観光客が大阪・京都方面に向かうと、「三宮を避けて通る形になり『観光客のお金が神戸に落ちない』と経済界の理解を得られない」(行政関係者)と考えられている。

【写真】現在のJR摩耶駅と、かつて神戸港へ延びていた臨港線。跡地は遊歩道として整備されていて、国道をまたぐ鉄橋には架線柱が残る
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