賽銭だけでは生きていかれない!寂れた地方の神社を復活させた宮司の「境内のSNSライブ配信」原点は"地域の人たちとのつながり"だった
おかげさまで、地元・青森のテレビや新聞、雑誌でもたくさん取り上げていただき、今ではX(旧Twitter)やInstagramといったSNSのフォロワー数は、県内の神社のなかで最多となっています。
神社の認知度が上昇するなかでよく言われたのが、「廣田神社さんは、次々と新しいことを始めていて、すごいですね」ということ。けれども、私自身は「新しいこと」をやっているという気持ちはまったくありませんでした。
私が始めた取り組みの1つに、SNSを活用した「ライブ配信」があります。コロナ禍で、家にこもりがちになっている方たちが神社とつながれる場をつくりたいと企画したものです。
同じようにSNSの活用に積極的な神社とコラボして、同時中継をしながら神社の由緒や御神徳の説明をしたり、境内の様子や御朱印を書いている場面を公開したりしました。
このライブ配信を見て、実際に神社にお参りにきてくださった方が大勢いて、コロナ禍にもかかわらず拝殿の前に行列ができたこともありました。
「金魚ねぶた献灯祭」を実行
令和元年に初めて行った「金魚ねぶた献灯祭」は、今では夏の恒例行事となっています。ねぶたというと、幅10m近くにもなる大きな人形型のねぶたを思い浮かべる人が多いでしょうが、金魚ねぶたは、サッカーボール大の金魚型の灯籠です。
江戸時代から津軽地方で飼育されていた金魚「津軽錦」をモデルにつくられたといわれていて、昔は、ねぶた祭りの期間中にお店や家庭の軒先に飾られ、青森市民にとってはおなじみのものでした。
ところが、青森ねぶた祭りが全国的に有名になり、規模が大きくなっていくなかで、徐々に忘れ去られた存在になりつつあったのです。そこで、改めて金魚ねぶたの魅力を知ってもらおうと企画したのが、「金魚ねぶた献灯祭」です。
金魚ねぶたは職人が1つひとつ手づくりするため、約200万円の資金が必要でしたが、クラウドファンディングで寄付を呼びかけたところ、直接寄付された方を含め、半分以上の120万円が集まり、新しいお祭りの開催にこぎつけることができました。
ねぶた祭りの期間中には、祭りの運行ルートにある廣田神社の大鳥居に、130個の金魚ねぶたを掲げて、ライトアップ。その様子が「ばえる」と評判になり、点灯式の日には「#金魚ねぶた献灯祭」が、青森県内でSNSのトレンド1位になるほど話題となりました。
世界中の人たちに金魚ねぶたの魅力を楽しんでいただいています。
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