賽銭だけでは生きていかれない!寂れた地方の神社を復活させた宮司の「境内のSNSライブ配信」原点は"地域の人たちとのつながり"だった
想像してみてください。
京都などの観光地にある有名神社や、初詣に何十万〜何百万人も参拝者が来る神社は別として、各地域にある小さな神社に1日何人の人が参拝に来るでしょうか? そしてお賽銭は1人いくら納めてくれるでしょうか?
また、近所の神社で1年に1回でもお守りやお神札を受ける人は、どのくらいいるでしょうか? いずれも非常に少ないことが容易に想像できるはずです。
多くの神社の経営状態が厳しいなか、1年間の収入が300万円未満の宮司が6割以上ともいわれています。それでは家族で食べていくのが難しいため、会社員や公務員と兼業している宮司が大勢います。
青森市と周辺地区をあわせて100社ほどある神社のうち、生活するだけの十分な収入がある神社は5社ほどしかありません。そういう状況で、社家をやめてしまったところもあります。
神社の経営不振・後継者不足は日本全国で起こっていて、その結果、神社の数は減少の一途をたどっています。
國學院大学の石井研士教授の調査によれば、2040年までに3万2867法人が「限界宗教法人」と位置付けられるとされています。
では、こんな時代にも守られ、続いていく神社とは、どんな神社でしょうか? ローマの遺跡のように歴史的価値があればよいかというと、そんなことはありませんし、観光地でもなく、国の援助もない状態では維持していく収入を得ることも難しい神社がほとんどでしょう。
ただ、それよりも重要なのは、地域の人たちとのつながりです。
たとえば、日頃の収入が少なかったとしても、お正月には地元の人々が集い、お祭りの際には金銭や労働力を惜しまず提供してくれたり、境内の修繕が必要な際には寄付が寄せられたりします。
これらは単なる協力としてではなく、地域の人々が日々の感謝の念を神様に捧げ、神社を大切な存在として守りたいという思いがあってこそ成り立つのです。こうした「ご奉仕」の心が広がれば、結果として神社そのものの収入は微々たるものでも、維持することができるでしょう。
地域の人たちにとって、現在進行形で祈りを捧げる場所、拠り所となるという、本来の神社の役割を果たすこと。そうすれば結果として、守られる存在になれるのです。
神社もブランディングが必要だ
私が宮司に就任してから、神社を守っていくために、新たなお祭りを企画したり、授与品を増やしたり、さまざまなことに取り組んできました。
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