東北が生んだ「究極のお土産」の意外な実力 復興庁主催の品評会はバイヤーで大賑わい
東日本大震災での被災というピンチをチャンスに変えるべく、新たな商品開発や販路拡大に取り組む中堅・中小企業が増えてきた。
9月14日に東京都内で開催された復興庁主催の品評会に、書類選考対象の496社から勝ち残った112の東北地方の企業が、震災後に新たに開発した商品などを出品。大手百貨店の経営者や専門誌の編集長らによって、そのうちから10社の製品が「世界にも通用する究極のお土産」として選出された(ほかに「LJマルシェ特別賞」として1製品を選出)。
小泉進次郎・復興大臣政務官らがパネリストを務めたシンポジウムに続き、品評会の会場は大手百貨店や専門スーパーなどのバイヤーら300人を超す参加者によって埋め尽くされた。東急百貨店からは社長を含め14人のバイヤーが参加。審査員として「八戸鯖・水煮缶詰 缶内熟成1年セット」(味の加久の屋)を「究極のお土産」に選定した三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長は、「来年3月に日本橋で東北フェアを開催する。製造元企業とのビジネスを何らかの形で構築していきたい」と前向きな姿勢を見せた。
復興支援で震災前よりも広がる販路
目を見張ったのは、出品した企業の意気込みだ。多くの企業が震災を機に新たな製品を開発するとともに、震災前とは異なる販路開拓に乗り出している。
宮城県気仙沼市の八葉水産は、地元気仙沼の岩井崎で採れた塩や気仙沼港で水揚げされたスルメイカをそれぞれ100%使用したイカの塩辛を新たに開発。
同じく新製品のイカ糀漬では、震災後に新たに開拓した岩手県産の「江刺金札米」を使用した。ともに、売価が1000円程度と従来の主力製品の3倍前後の高級品で、「『八葉塩幸』と名付け、とことん味にこだわった」(販売部の脇田好彦さん)。すでに台湾で売り始めたうえ、欧米市場も視野に入れているという。
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